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その後のとらドラ2
- 「それじゃぁやっちゃんは仕事に行って来るガンス♪」
「あいよ、気をつけてな」
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「いってらっしゃい」
泰子の仕事を見送る竜児と大河。
竜児には気になっていたことがあった。
「戻ってきたって事は、また隣の家に住むことになるのか?」
そう、大河の住まいである。
戻ってきたということは、当然また向かいの家になるわけだ。
「んまぁその方が気楽でいいんだけど、どうしようか迷ってる事があるの」
「迷ってる事?」
大河にある提案がある模様。
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「うん、竜児だけの意見じゃ決められないと思う事」
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「そうか、なら泰子が居る時に聞いたほうがいいな」
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「やっちゃんは反対しそうな気がするけどね」
大河は苦笑しながら言った。
いったいどんなことだろう。
竜児には考えもつかなかった。
- 「とりあえず、今日はどうするんだ?」
「一応荷物を持ち帰ってきたから、整理しようと思う」
「おう、何なら手伝ってやろうか?」
「結構。っと言いたいところなんだけど、荷物が結構多いのよね」
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多い?多いだと?
そうなると片付けることができる…
竜児の目が怪しく光った。
誰かを殺そうとするような目つき。でも本当はそうではない。
竜児は三度の飯より掃除や片付けが好きなのだ。
大河が戻ってくる日まで、大河の家の掃除は一日たりとも怠らなかったくらいだ。
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「うわぁ…相変わらず変態の目つきになってる…」
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「へ…変態とか言うな!」
「あんたのその癖は直したほうがいいと思うよ…」
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「…ほっとけ」
竜児は呆れながら大河の荷物を運ぶ。
ダンボールの数にして…12個、出て行った時は少なかったのに…
「この荷物、ここらへんでいいか?」
「うん、ってか任せた」
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任せたっておま…
「だって、片付けるんでしょ?」
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「いや、んまぁ言ったが…」
反論できない竜児にさらに追い討ちをかけるかのように
「しまう場所が間違ってたらその首がないと思いなさい♪」
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ひたすら満面の笑顔で怖い事をさらっと言いのける大河。
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「間違ってたら指摘してくれ…」
片付けをしている最中に気になっていた事を思い出す。
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「んで、さっき言ってた迷ってる事ってなんだ?」
大河は体をピクっと動かし、何やら悩みつめた表情になったがやがて意を決したように話始めた。
「…この家に住むのって、私一人じゃない?」
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「うむ」
「それでいつも竜児の家でご飯とか食べてるじゃない?」
「そうだな」
「ここまで言って分からない?」
大河は上目遣いで寂しそうに言う。
「いや、そこはかとなくそれかなぁと言うのはあるんだが…つまりこの家に皆で住もうって事か?」
この家に3人で住む…
竜児にとって、悪い話ではなく、むしろ本当に住んでいいのかという気持ちでいっぱいだった。
何を隠そう、趣味の一つとして外国のインテリアが載っている雑誌を読むのが好きで
大河の家には竜児が圧倒するほどのインテリアが揃っているのだ。
それに、家が大きい分掃除し甲斐があるというもの。
「竜児には拒否権はないとして、やっちゃんがいいって言うか心配なのよ」
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何故俺には拒否権が…ってかその前に…
「って家賃とか幾らだよ?」
「家賃?ローン無しで買ったハズだから大丈夫よ?」
「な!マジで?」
「確かね」
うちはあんなボロアパートで、一応家賃を払っているわけなんだが…
このブルジョアめ!
竜児は金銭面の管理もしている。
その上で一緒に住むとした時の、この家の家賃が幾らだか気になっていた。
部屋の数だけだと4LDKはある家。
普通なら六桁くらいの家賃はありそうな家なのだ。
それで家賃がないとなると、相当生活が楽になると竜児は踏んでいた。
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「なら、後は泰子の問題か」
「うん、一応やっちゃんが高須家の大黒柱なんだから、明日聞いてみよう」
「そうだな」
荷物の片付けをしながらこの家に住む事になった時の部屋割り等を
- 考えていた。
考えているうちに顔がにやけていた様で
「またキモい顔になってる」
と大河に悪態をつけられたのは言うまでもない事実である。
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