竹宮ゆゆこ総合スレ SS補間庫
   

 

日記。徒然に。。。15



川嶋亜美の日記より抜粋
8月21日。
なんか今日は疲れた一日だった。でも、少しハッキリして私は良かった。
どうやら私達は同じ穴のムジナだ。高須君にそれとなく想われていて、残念な事にそれ以上の好意を持ってしまっている。
別荘の時にも思った。高須君の中で、今一番のウェイトを占めているのは美乃梨ちゃんだ。
だから高須君は私を抱かなかった。奈々子や狩野先輩も。
彼が私達に向ける好意はソレを求める程では無いんだろう。だけどゴメンネ、高須君。少なくとも私はもうソレを求める所に居るの。
だから、上等だ。過去の事なんか知らない。後から来た私には分からないし、関係ない。
狩野すみれ、相手にとって不足は無い。てか凄い人だけど、コレばっかりは譲れないよね。
裕作だって多分狩野先輩を…だったら向こうも一悶着ある筈。まだまだいけるね。


香椎奈々子の日記より抜粋。
8月21日。
今朝、狩野先輩は高須君と大河と一緒に登校してきた。ちょっと、いえ、かなり騒然としたわね。それに竜児にすみれでしょ?もうビックリ。
先輩は高須君の傍ではまるで雰囲気が変わる。3年生には高須君がホントはヤンキーじゃないってあんまり知られていないから良いけど、普通だったらアニキ信者に襲われるわね。
でも放課後、高須君を呼びに来た先輩を「話があるんですけど良いですか?」って亜美ちゃんが引きとめたのは驚いたかな。
私が1人で生徒会室にでも行こうかと思ってたんだけど、やっぱり亜美ちゃんとは気が会うのかなぁ。
私達は3人共お互いの気持ちを知っている。その上で、精一杯やっていこうと思う。でも、ソコに先輩が横槍入れる積りなら「私達、手加減しませんよ」亜美ちゃんは笑ってたけど、目は笑ってなかったな。
でも先輩にもビックリ。
もう「は?……くっくくく……あはははははは」って笑い出したかと思ったら
「良いねぇ。受けて立つぞ?」私達がビックリしてると「ふふふ。私は竜児を必要としてる。だが、まぁアイツは私程は必要としていないのかも知れねぇな」どこか寂しそうだった。
でもその目は真っ直ぐだった。やっぱりアニキ会長だなぁ
「私はまだ竜児の全部を手に入れては居ない。ま、ちょっと襲いはしたがな?ふっ、その顔だと似たりよったりか?面白い。私も手加減などしないからな」
それからはチョット息苦しい位だったかな?亜美ちゃんは「いいですけど。でも高須君、亜美ちゃんの体躯隅々まで知っちゃったし、忘れられないと思いますよぉ」と言えば
「そいつは結構だな。ま、昨日の夜は忘れてたみたいだったがな」と来た。だったら一番乗りは私って事ですね。あぁ、乗られたんでした。とは言っておいた。
良いわねぇ。こうゆう一触即発って雰囲気、私は結構好きだな。でも、まぁ麻耶はちょっと可哀相だったんだけど、言ってくれたよねぇ、麻耶。
「でも結局3人共、高須君にイかされちゃっただけじゃない?だったら私にだってアルと思うよ?勝ち目ってさ!」
随分と痛いところを突かれたわね。ってか亜美ちゃんは知ってるけど狩野先輩も真っ赤に成ったって事は、私達と一緒か。高須君、貴方ほんとに素人?


逢坂大河の日記より抜粋。
8月21日。
なんか今日はビックリね。生徒会長は迎えに来るは、竜児って呼ぶわ、竜児にすみれって呼ばせるわ。
バカチーも奈々子も麻耶も固まってた。竜児、アンタ一体何したのよ?
でも北村君も凍り付いてたし、なんかずっと竜児を見てた。どうしたんだろ?
でもいいわ。何にせよ、あの生徒会長が竜児にくれば、北村君がアイツの餌食になる心配はないわね。でもみのりんは?竜児。
!……またアイツから電話が来てる。ほんと、ウザイ。私は今すっごく楽しいんだから、邪魔をしないで欲しい。くそジジィ!


木原麻耶の日記より抜粋。
8月24日。
最近はちょっと周りが騒がしい。
奈々子は毎日の様に高須君と夕食の買い物をしている。それほど必要とも思えないんだけどやるわね。
亜美ちゃんは大河とよく一緒に居る。将を射んと欲すれば、まず馬を射よって奴だと言ってた。馬じゃなくて虎だけどね。
狩野先輩は堂々としたものだ。特に変わったアプローチは無い。でも毎朝高須君の家に迎えに行ってるし、偶に一緒に過ごしてるのを見かける。
まぁ校庭で高須君の膝枕を大河と共有するのは止めた方が良い。目立ってますよ、かなり。
そんな3人に、ああは言ったものの私は何も出来ない。いや、少し違うね。なんか焦ってこない。
これは多分、私は彼女達ほどは高須君に惹かれてはいないんだと思う。きっと。
どこかで私はまるおを見てる。だから気付いたのかな。まるおが、複雑な表情で高須君を見てるのを……心配なの?高須君が。それとも、別の誰か?
私は………まるおに告白しようと思う。


能登久光の日記より抜粋。
8月27日。
まったく春田のアホが。なんであそこでクジにするんだ?あいつマジで裏口なんじゃねぇのか?
それにしても、プロレスなんてどうすんだよ。まぁミスコンの逢坂は良いだろう。北村に任せとけばタイガーも納得するだろうし、高須も居るしな。
だが、最近の高須は目に余るものがあるな。なんだ?なんでアニキが高須を「竜児」で高須が「すみれ」なんだよ?
しかし難攻不落のアニキを高須が陥落とは、なにがどうなったやら。
ま、い〜けど。


高須竜児の日記より抜粋。
8月27日。
なんだか最近は酷く落ち着かないな。
包丁で滅多刺しにされる夢を見た。なんか船にはもう乗りたくなくなるな、あの夢は。
しかしタダでさえ、その、顔を合わせるのに勇気の居る3名様なのだが、毎日必ずお目に掛かるのはどうにもならんのか?どうにも気不味いんだが。
狩野先輩は普段は前と変わらないのに、登校時と休憩時にはなんかキャラ変わるしな。いや可愛いんだが、それはそれで色々と困る。
香椎は随分料理に凝って来たな。今度俺ん家で一緒に料理を作りたいと言ってるし。まぁ俺も料理は嫌いじゃないし、香椎の家って訳にも行かないしな。それはいいんだが川嶋の視線が居たいのはなんでだ?
川嶋は最近大河と仲が良いようだ。だが大河はどうも俺の家を自分の家と勘違いしてないか?なんでお前の家で遊ぶと言って俺の家に2人が居るのかわからん。
3者3様に、俺は正常な男子高校生ならば感極まって清水の舞台から飛び降りる程の体験をしたのだが、その全てを乗り越えてこうしてココに居る。
櫛枝。お前と中々に話す機会が減ってきているのが寂しい。
櫛枝が大河の幸せを望むが故に俺達だけが結ばれる訳には行かないこの状況下に有って、呑気に惰眠を貪る逢坂大河に殺意を覚える事もしばしばだ。
そのくせ北村が絡むと変なテンションになるからな。どうにか出来ないものか。
北村も香椎だ逢坂だゆりちゃん先生だと旗ばかり立ててないで、そろそろハッキリと身を固めてはどうだ?大河がオススメだぞ?俺の為にも。
それにしても最近の大河は変だな?つか親からの電話なら出りゃ良いのに。ま、他所様の家庭の事情は知らんし、口出す積りも無いさ。


北村祐作の日記より抜粋。
8月28日。
会長。貴女は…高須の事を、好きなのですか?高須、お前は会長の事、どう思ってるんだ?
最近はそればかり頭を巡る。どうにも離れない。
このままでは駄目だ。でも、俺にはまだ、一歩を踏み出す勇気が、まだ俺には無い。
でも亜美にはなんか耳打ちされたな。
「私は祐作を応援するよ。似合うと思うけどな〜。祐作と会長って」
どうにも解せないんだよな。アイツがああいう口調の時は、何かがあるに決まってるからな。


狩野すみれの日記より抜粋。
8月29日。
ふふふ。最近は毎日が楽しいな。いいな、こういうのも。
朝は少し早いが、それでも登校時間が少し楽しくなった。あいつらの顔も面白い。それぞれ色々やってるんだろうな?
私は私だ。会長としての私。アニキとしての私。娘としての私。どこか時間がゆっくりとしていたあの頃も良かったがな、少し慌しい今の方が、より楽しいぞ?
唯一人、狩野すみれとして見て欲しい相手が出来ただけで、こんなに変わるのか?世界は。
面白いじゃないか。なぁ?竜児。


高須竜児の日記より抜粋。
8月30日。
ヒーハー!!
やばい。浮かれちまった。いや、浮かれずに居られるか!やったぜ俺!やったぜ俺!!やったぜ俺!!!
とうとう我が家に憑り付いた呪怨ガールにもお引取り頂く時がやってきたぜ!
今までよく頑張ったな炊飯ジャー「炊ける君」。これからは2合の米をゆっくりと炊き上げてくれ。
いきなり口座から金を取り上げられた大河の「行かなきゃ逝かせるぞ?」な視線により俺が会う事になった人物。そう!逢坂陸郎様だ。
俺は大河の変わりに大河の生活費を受け取りに言ったのだが、ソコで会ったこの紳士は、大河に会いたくてやった事だと俺に謝り、すんなり金をくれた。
それから少し軽いものをご馳走になって、話を聞くと…ちょいと奥さん聞きました?ってなもんだ!大河ともう一度一緒に暮らしたいと言うじゃないか。
うんうん。よく言った父よ。そうだなぁ。やっぱり家族が一番さ!よく見れば優しそうな人じゃないか。色々考えての事だろう。ま、人間は中身が全てだ。どんな誤解や行き違いも最後には家族の絆には勝てないのさ。
OKです父上。僕からも彼女に言って聞かせましょう。はいはい。
俺が小躍りしそうな程の足取りで帰宅するとせっせと洗い物をしているじゃありませんか。いえいえ、もう結構で御座いますよ。はい。
良かったなぁベロ。べムが迎えに来てくれたぞ?
出来るなら幸せになってください。同じクラスメイトとして貴女の未来に幸あらん事をほほほほほほほほ。
いやぁ僥倖僥倖。親御さんと一緒に暮らすとなれば櫛枝も安心の一言に尽きるだろう。うんうん。
待たせたな櫛枝。これからは俺達が幸せになろう。もう君や俺が居なくても、逢坂大河にはご家族がいらっしゃるのだからな。あはははは。
と、報告報告っと。と俺が櫛枝に大河と大河の親父さんの事をメールしたら、「ふざけんな」って返信……あれ?
ドウシテ?と返信したけどね……「明日顔貸して」……俺、なんか踏んだ??


逢坂大河の日記より抜粋。
8月30日。
竜児があのくそジジイに一緒に暮らそうって伝言を託って来た。ムカつく。
どうせすぐ飽きる癖に。今だけの癖に。
竜児も竜児だ。なんでそんなの頼まれてくるのよ!
もう訳わかんない。最低だ。みんな最低だ。
だいきらい


香椎奈々子の日記より抜粋。
8月31日。
今日も買い物に行こうと誘ったら用事が有るからって断れた。なんだろ?用事って?
でもなんか放課後急いで教室飛び出して行ったし、よっぽど大事な用事なのね。
もう、折角そろそ高須君の家で料理作ろうと思ったのに。
美味しいと思うんだけどなぁ、私の女体盛り。


櫛枝実乃梨の日記より抜粋。
8月31日。
私は今日程に人を憎んだ事が無い。
またなんだ。あの人はまた自分の都合と思い付きで、ただその場の気分で…大河を傷付けようとするんだ。
悔しかった。悔しくて悔しくて仕方が無かった。
昨日、高須君からメールを貰った時は本当にあったまに来て、彼には失礼な返信をしてしまった。ゴメンね、高須君。でも許してくれてよかった。
「でよぉ。一体何なんだ?別に良い事じゃねぇか?親と暮らせるんだし。大体今の状況の方がどっちかってぇとおかしいと思うんだけどな?」
うん。高須君の言うのも分かるんだ。去年の私もそうだったから……だけど、あの人は違うんだよ、高須君。あの人は、私達が思っている様な人なんかじゃないんだ。
放課後待ち合わせた喫茶店で、私は一年前にあった出来事を話した。
お父さんが現れて、どんどん入り込んできて、一緒に住む事になって……やっぱや〜めた!……って。
私にはあの人が許せなかった。あの人が許せない私に、あの人の悪口を言わせたくなくて、私は大河の中からほんの少し出された。
あんな人の所為で。そう思ったら泣けてきた。高須君は黙って聞いてくれてたけど、泣き出した私にただハンカチくれて、頭に手を置いてくれて「頑張ったんだな、櫛枝」て。
たぶん微笑ってくれてた。霞んでよく見えなかったけど。だって高須君温かかったもん。だからありがとう、高須君。「後は俺に任せろ」って言ってくれた君を、私は信じるよ。


北村祐作の日記より抜粋。
8月31日。
文化祭の学校側との交渉はかなりの難航を示している。
だがやはり2日開催はどうしても無理のようだ。ならばと幾つかの交換条件を提示し、それ相応の成果を挙げようと今は紛争中だ。
しかし帰りに高須を見かけたが……なにかあったのか?高須。
その形相はおれでもちょっと声を掛けれんな。後ろを歩いている4人の警官に捕まらなければいいのだが。


高須竜児の日記より抜粋。
8月31日。
さぁてと。こんな殺意を覚えるのは武井殺害未遂以来だな。否、今回はそれを上回るな。
既に名前を覚えたくも無い、逢坂の哀れ父が!まさに天誅に値する。抜刀斎を呼べ抜刀斎を!
まさかっくくくく櫛枝を泣かせるとは!!!
あの哀れ父は、ええい!思い出すのも忌々しい。外見などどうでも良い!アホの考えなど便所の紙くずだ!!中身なんぞもっとどうでも良い!!!
既にあの白スーツは切腹の準備ありか?いいだろう介錯してやる虎鉄だ虎鉄ぅ!!
駄目だ、意識が混乱している。オヤツ?なんでもいい、ドンドン喰え。
途中からまったく話を聞いてなかった事は櫛枝にばれなければ良いが。まぁ上手く誤魔化せたはずだ。しかし俺とした事が櫛枝の話を聞けない程とはな。ふっ、惚れた弱みか。
そう、もはや理由は必要無い。まったく無い!ある筈が無い!!
ある人物が現れましたその人物を見て櫛枝が泣きましたその人物は?もちろん死刑!!!
哀れ父よ。貴様には黙秘する権利すらない。金があってもやる気の無い国選弁護人しか雇う事は出来ない。死刑と死罪と懲役589年のどれかに決定だ!
さぁ来るが良い愚か者よ。お前に素敵な未来をくれてやろう。今夜は眠れそうに無いな。ふふふふ

9月1日
ふっ。飛んで火に居る夏の虫よ。精々明日も来るがよい。
早速、今日あの…なんでもいいか、アホ親父がやって来た。出会い頭の大河の金的ケリにはちょいと悪寒が走ったな。ま、いいが。
大河はそれで満足したらしく、そそくさと家に帰った。とは言っても俺の家だがな。だが大河よ。そんなんじゃあぬるいんですよ?
あの御仁は櫛枝を泣かせたA級戦犯なのだよ。極東軍事裁判に掛けるまでも無い。更なる鉄槌を下さねばならんのさ。
流石だなぁ北村よ。
「北村の奴、今夜学校の帰りが遅くなるらしくてな?近くを通るって言うからよ、大河。お前チャーハンでも作ってやったらどうだ?俺が届けてやるから」
ふっ、分かりやすいなぁ大河さん。おにぎりで自信を付けたのか?「仕方ないなぁ」なんてフライパンを持つとは。
約15分後。冷凍チャーハンの元より生み出された素敵チャーハンの完成だったね。ほんっっっの少し味見をしたがな………流石に天才だな。
魔界の料理長の腕は健在どころか上達の一途。さぞや魔界のグールが行列を成す事だろうて。
さて、ほんの2分程俺は気を失ってたが、それでもまだ温かいな。さっさとラップを掛けもって外に出た。OK。ストーカーはそれ位の根性が無ければな。まだ居たよ、オトウタマ。
大河がお腹空くだろうって、コレ。と言って渡したね。「大河が、僕に?」おお、嬉しそうだなぁ。なんだ、大河の料理を知らないのか?ソイツは寂しい親子だなぁ、良い機会だ、知ってやれよ。
まぁ、全部食べてくれたら、今夜の夕食は一緒にどうかって事でしたよ。第一歩ですね!と言えばもう「ありがとう!高須君!いただきま〜す!」
ふっ、素人がそんなにたくさん頬張っては危険ですよ?あら?止まりましたね。
もう、ギ・ギ・ギってな感じでこっちを見るんだもんなぁ。大河は楽しみにしていましたよ。きっとパパは全部食べて、美味しかったよ大河って綺麗な食器を持ってきてくれると…どうしました?
うわぁ、捨てられた子犬みてぇな目だねぇ。うんうん。すまんなぁ、櫛枝の敵は既に俺の仇に等しいんだよ。でもまぁ頑張ったよな。
あの魔界の料理長が作ったチャーハンを完食したよこの人。でも、さっ!行きましょう!中で大河が晩御飯作って待ってますよ!と言ったら「す、すまないが用事を思い出した。折角だが今日はコレで」
あらら残念だなぁ。本当に、残念だ。


9月2日。
ほっほ〜〜い。来たよ来た来た、良いねぇ。ばか親父って言ったっけ?
今日は大河も気付かなかったからな。しかしまぁ大河も
北村が部活の休憩中にお前の作ったお好み焼きが食べたいと言っててな。俺が頼まれたんだが、どうだ?たい…やる気だねぇうんうん。
いや、コレはもう味見をしなくても分かる。うん。OKだ大河。だが出来ればジョイを入れるのは止めた方が良いな。除菌だからまぁ大丈夫だろう。
今度からで良いぞ、気をつけるのは。
でもなんでかな?オトウタマ。皿を持つ俺を見てビックリするのは酷いですねえ。
見てましたよ、大河は。もし良かったらって作ってましたよ。これ。
流石に学習したようだ。1GBくらいのメモリはあるのか、コイツにも。
「いや、今日はお腹は空いてな」いやぁ、コレ作るのに大河ちょっと火傷しちゃって大変でしたけどね、でもまぁ上手く出来て良かったって喜んで…すいません、なんか言いました?
へ〜。人の顔色って緑にもなるんだな〜って位の変色ですよ。いやぁ。笑わせるのは止めてほしいなぁ。
いいよぉ。完食は父の愛を感じるよ。さぁどうぞ中へ!って言ってるのにまた帰ったな。


香椎奈々子の日記より抜粋。
9月3日。
最近高須君が不適に笑ってる事が多いなぁ。
なんかやってるのかしら?
そういえばこの前「例えば大河にストーカーを掛けてる奴が居たとして、そいつを懲らしめたいなら香椎はどうすれば良いと思う?」と聞かれたわね?
あの時位からかな?おかしくなったのは。でも別に変な事は教えてないんだけど。ごく一般的な事よね?
大河の出したものは全部食べるでしょうから、徹底的に大河の料理を食べさせる。
それ食べたら大河と一緒に夕食だよ〜とか言えば食べるんじゃない?ま、夕食は無理だろうけど。
2・3日も持てば良いほうでしょ…それで終わりかって?まさか!その後そのストーカーの家に宅配で送ってあげるのよ。毎日毎日ね。あぁ、ゆうパックが良いわね。運送会社だと引越しされたら届かないし。ゆうパックだと転送かかるから。
そうねぇ。嬉しそうに料理をつくる大河の写真でも毎回添えると精神的な罪悪感も植えつけれるわね。
高須君。楽しいわよぉ。希望と絶望を秤に乗せて、目一杯の優しさをあげるのよ。あくまでも本人の意思で進ませるの。砂漠で見つけたオアシスが飲んでみたら激不味青汁でした〜て感じ?それを間近で見るの。
どうかしましたか?そう。それは囁く様に優しく語るのよ?きっと悪魔を見るような目で見て来るでしょうねぇ。でもそれは自分で選んだ道なの。その絶望感。はぁ……それがイイの。
周囲の人がドン引きだったけど…変?
高須君は嬉しそうにメモってたから良いんだけどね。


高須竜児の日記より抜粋。
9月4日。
おぉ!一日開いたが復活したのか…なんだっけ?たこ親父でいいか。
随分とまぁやつれたなぁ。よぉしよし。今、元気にさせて上げるからなぁ?
またまた大河を乗せて作った品。本日のメニューはクリームシチューか…とうとう食材を自分で調達してきてか。どこで買ったんだ?このタガメ。
節足動物まで混入するとは流石料理長。お前には脱帽だぜ。
おっと、俺を見た瞬間逃げようとするのは無しですぜ?だんなぁ。
大河自慢の一品です。題名は、パパと私。俺にはよく分かりませんが、昔パパと一緒に食べたクリームシチューが忘れられないとかで、覚えていないんですか?
うん。ナイス否定。「お、覚えているとも」だよねぇ。さぁどうぞどうぞ。あぁ、そうやって持つと足持っちゃいますよ?
今度は凄かったな。あっという間の完食だった。あっという間の撤退でもあったがな。
しかし俺も迂闊だったな。料理長を見くびっていた。俺が帰るなり「北村君なんて言ってた?」と目を輝かせて聞いてくるからな。美味かったってよ。と言って空の皿を見せた。
おお、おお。嬉しそうだ事。ま、いいか。と思った俺の前に差し出された一枚のお皿………なんですか?料理長?
「作りすぎたからアンタにもあげるわ」
…………シチューの中から俺を見ている奴が居るという不思議シチューを俺にくれると?
櫛枝よ。出来れば今度は俺の為に泣いて欲しい。下手すりゃ逝くぜ?コイツは。
とりあえずテーブルについた俺は「俺を喰うのか?」と訴えかけるタガピーちゃんはそっと避け、スープを飲んだのが………現在夜中の3時にコレを書く。今、起きたのさ。
だが、まぁビックリさ。向かいで大河が寝てる。つか目がナルトみたく回ってるが、と思ったら右手にスプーンを持ってたな。自分で喰って倒れるとは…取り敢えず布団にと立ち上がれば……泰子。なんでお前もスプーン片手に倒れてる?
大河。取り敢えずゆで卵からやり直そうな。


櫛枝実乃梨の日記より抜粋。
9月5日。
さっき大河から連絡が来た。
お父さんと一緒に住むって話は向こうが取り下げたらしい。なんか遠くに引っ越していったそうだ。
生活費は今までの倍額振り込まれてるらしい。
きっと高須君がなんとかしてくれたんだね。
良かったね、大河。言ったら「仕方ないからもう少し竜児に世話させてやるわ」だって。
ほんと、素直じゃないね、大河は。
ありがとうね、高須君。