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   |  日記。徒然に。。。9
 
      
        櫛枝美乃梨の日記より抜粋。 5月14日。
 最近妙な噂を耳にする。大河と高須君が同棲してるとか付き合ってるって噂。
 確かにいつも二人は一緒に居るし、お弁当や食事の世話を高須君がしてると思う。
 最近、大河は私のバイト先で夕食を取る事が無くなったし、コンビニでボ〜っと時間を潰す事も無いようだ。
 でも、付き合ってるかどうかと言われれば、私はそうではないような気がするんだよね。
 確かに分からない。でも、きっと、大河の目は違う人を見てると思う。
 ただ大河は嬉しいんだと思う。自分を見てくれる……家族みたいな人が出来た事が。
 ありがとう。高須君
 
 5月15日。
 明後日にはレクリエーションだねぇ。
 それにしても良いのかな?高須君は高須君と香椎さんの2人で料理するからって言ってたけどさ。
 うん。やっぱり用意位はして置くべきだと思うんだよ!私は。
 せめてコレくらいは…一味でしょぅ?七味とカラシと、わさびと…コチジャンもいいか。
 そうそう。鷹の爪と唐辛子を忘れちゃ駄目だよね。
 後はマスタードを2種類っと!
 うん!コレくらい有れば味を整えるのに役立つよね?
 やっぱこういう事は皆でヤラないとね!
 
 
 狩野すみれの日記より抜粋。
 5月15日。
 どうも最近アイツが買い物に来る時、一緒に小さいのが来るな。たしか手乗りタイガーとか言ったか…どういう関係だ?高須。
 確かに色々噂は耳にしている。だがアイツはそれを否定しているし、ただ飯を食わせて家事を手伝ってやってるとの事だ。
 まぁ資料を見る限り、逢坂の家はどうも複雑な家庭の様だしな。そんな人間が隣に居れば、まぁアイツの事だ。手を差し伸べずには居られないのだろうが……面白くは無いぞ?高須。
 
 
 川嶋亜美の日記より抜粋。
 5月16日。
 親睦、かぁ。
 何時までココに居るのかもわかんなんだけどなぁ。でも高須君は任しとけって言ってたからチョット期待しちゃうかな。
 知り合いが居た方が良いだろうって裕作の班になったけど、麻耶や奈々子も居るし楽しそう。
 まぁチビトラが居るのは余計…でも無いのかな?アイツと騒ぐのは楽しいし。多分、素の私と一番合うのはタイガーなのかもね。
 ねぇ高須君。私は少しづつ、素の自分に成れてるかな?高須君の目に、私はどう見えてるかな?
 逢坂大河に比べてどれくらい、私は貴方に近づけたんだろう……今はそれが知りたい。
 知りたいよ、高須君。
 
 
 高須竜児の日記より抜粋。
 5月16日。
 いよいよ明日は決戦だ。どうやら天気は良い様だ。忌々しい事に。
 俺がこっそり逆さ貼り付けにした9体のテルテル坊主は無駄に終わったようだ。それとも逢坂のテルテルもどきに負けたのか?重ね重ね忌々しい。
 だがレクは万全だ。さっきまで香椎さんと二人で明日の料理の準備をしたからな。もはや死角は無い!逢坂も櫛枝さんも思う存分遊ぶと良い。いや、遊んでてくれ!
 香椎さんは不安を抱えていたが大丈夫だ香椎さん。俺を信じてくれ!
 バトミントンでも渡しておけば逢坂凧の糸は切ったも同然だし、春田は川嶋に求められればゴム無しバンジーでも強行出来るアホだ。そんな面白シュチュエーションを櫛枝さんが放っておく訳が無い!
 あの2大巨匠さえ調理スペースに近付けさせなければ我々の命は保証される。後は逢坂が空腹を訴える前に料理を完成させれば良いだけだ。それも今夜で目途が付いた。無問題だぜ!
 おい逢坂大河よ。嬉し楽しい親睦を深めるレクが、手に汗握る死亡確率を深めるレクに早変わりとは。お前は何処まで俺の人生のレールに居座る巨岩なんだ!友人は選ぼうぜ櫛枝さん。
 泰子が折角だからと夕飯を一緒に付き合わせちまったが、香椎さんは迷惑じゃ無かったろうか?強引な母で申し訳ない。
 まぁ、家に帰っても誰も居ないと言うしな。良かったのかも知れないが、お互い片親は大変だな。独りで大丈夫か?香椎さん。
 それにしても逢坂よ。別に無理にとは言わないが、せめてクラスメイトが居る時位は余所行きモードとかお客様モードにならんか?
 いつも通りの姿に香椎さんは驚いていたじゃないか。
 第一な。お前達は気付いていないかも知れないが、お前達2人は恋敵なんだぞ?しかも櫛枝さんまで加味した複雑な人間模様だ。まったく、俺の身にもなってくれよ。
 香椎さんが「どうして高須君が逢坂さんにココまでしてあげるの?」と聞いてくるのも分かる。だがまぁそれもやむを得ないだろう?
 逢坂はドジだからな。もう独りにはしたくないっていう櫛枝さんの気持ちも分かる。いいさ櫛枝さん。安心してくれ。
 この俺が近い内に必ずや、この和製ダミアンを北村の下に嫁がせてやる。俺の幸せの為だ、許せ親友。
 だが俺が香椎さんではなく逢坂に肩入れした事については、それは素直に謝罪するしかあるまい。
 だが香椎さんは分かってた。
 「もしかしたら高須君は私じゃなくて……逢坂さんを」って。その通りだ。否定はしない。それはしては成らない、一人の男として。
 櫛枝さんの為に、これは俺が背負うべき業なんだ。たとえそれで全てを失ったとしても、俺は逢坂をこのままにはして置けないんだ。
 俺に抱きつきすすり泣く香椎さんに、俺は掛ける言葉が見つからない。だが大切な友人の恋を、俺は自らの幸せの為に奪ってしまった。
 ごめんな、香椎さん。俺は駄目な奴だな。
 ただ「ごめん」と言う香椎さんに、俺は良いんだとしか言えない。それで少しでも楽になるなら、俺の胸で泣くといい。
 彼女を送って帰宅して、俺の布団ですやすや眠る逢坂を見ると、どうしても叩き起こしてやりたくなるのはどうしようもないな。
 俺が我慢強くて助かったな?逢坂よ。
 
 
 逢坂大河の日記より抜粋。
 5月16日。
 明日は晴れそうね!テルテル人形を飾って正解だったわ。なんかバビー人形が首吊ってるみたいで気持ち悪いけど晴れればなんでも良いわ。
 最近は毎日が楽しい!毎日が嬉しい!今日も楽しかった、明日もきっと楽しい!
 明日は竜児が香椎さんと昼にご馳走作るって言って、夜まで二人で台所に立ってた。つまみ食いしたら文句言ってきたけど、くれた唐揚げは美味しかった。
 夕食には香椎さんも居て、なんか狭い部屋がもどかしい。私ん家で食べれば良いのに。
 目が覚めたら真っ暗で、今は2時。何時もの自分のベットだ。また竜児が運んだのね?
 あっ!明日着てくジャージにアイロン掛けてって言うの忘れてた……いっか。きっと掛けてくれてるもんね。
 もう寝よう。明日はきっと、今日より楽しい日になるから……
 
 
 北村裕作の日記より抜粋。
 5月16日。
 明日は親睦レクリエーションか。まぁ高須が張り切ってたしなんとかなるだろう。
 櫛枝には悪いが、アイツの味覚は少々刺激が強すぎるからな。
 それにしても会長も物好きだな。わざわざ俺達の班を見に来るなんて。
 ま、逢坂と高須が居るからな。なにか騒動があるとしたら中心はソコだろうと踏んでるんだろう。
 あながち間違いじゃないのが心苦しいがな。
 でも、楽しみだ。なんだろうな俺は。会長と過ごせるってだけで、どこか嬉しい。
 まったく……早く本当の俺を見せたいな。
 なぁ?高須。
 
 
 狩野すみれの日記より抜粋。
 5月16日。
 それにしてもアイツの家事万能ぶりもココに極まれりだな。
 何をそんなに気合入れてるんだか。
 まぁ、私も顔を出すかも知れないと言っておいたしな。お前の事だ。ちゃんと私の分も用意しておくんだろう?だったら行ってやるさ。折角の料理が勿体無いからな。
 ふふふ。今年で3回目か。慣れてると思ったんだがな。晴れてくれと祈ってしまう自分が居るのが不思議だな。
 精々お前も晴れを願ってくれ。こう見えても今から誉め言葉を考えてるんだからな?無駄にするのは勿体無いだろう?
 
 
 木原麻耶の日記より抜粋。
 5月16日。
 さっき奈々子から電話が来ていた。
 明日はレクリエーションだ。明日からまた私達は新たに親友として歩み出す事になるんだよね?奈々子。
 さっきまで高須君の家で明日の準備をしていたって連絡が来たけど、その時に奈々子は色々な事を話してくれた。
 高須君と逢坂さんの関係は私達が邪推する様なモノでは無い事。そして、奈々子の想い。
 ようやく踏み出すんだね、奈々子。
 奈々子は真剣に高須君と向き合うと私に宣言した。譲るとか譲らないとかそんなつまらない関係に、私達はなりたくない。
 だから奈々子。真剣に、真っ直ぐ行こうよ!たった一度の青春だもん!
 私はまだ二人の内のどちらもはっきり選べない。奈々子は歩みだした。だから、私も歩き出そう!
 今すぐには決着は付かないかも知れないけど、いつかずっと先で皆で笑えるように、私も歩き出そう。そう、今日は思った。
 
 
 恋ヶ窪ゆりの日記より抜粋。
 5月16日。
 はあ〜〜あ。
 明日は外か〜。そろそろ肌にキツイのよね〜外って。でも言ってられないわね!
 最後の弾を撃ち損じたんだもの!もう私には仕事しかないのよ!!
 ま〜、最近逢坂さんも忙しいし、高須君もなんか張り切って料理作るみたいだし。良かったら先生もどうですか〜なんて。言うわね〜彼も。
 でもなんか緊張するのよね、彼………か、彼って言ったって彼氏とかそう言うんじゃなくて、男子生徒の彼よ!そう。そうよね。
 第一、高須君から見たら私なんてず〜〜っと年上な分けだしさ、そんな意識あるわけ無いわよ。
 ほんと、馬鹿みたい……有る訳無いのに………
 
 
 香椎奈々子の日記より抜粋。
 5月16日。
 私は今日決めた。分かった。私は高須君が好きなんだ。誰にも負けない位。麻耶にも負けない位に、彼の事が好きなんだ!
 もしかしたら今の私にはそんな資格はないのかも知れない。でも、そうありたいと思う。彼に想われるだけの価値ある人に、私はなりたい。
 だって彼はそれくらい、優しくて大きい人だもの。
 高須竜児と云う人物を、私は今日初めて見つけたのかも知れない。
 明日の準備をしようと一緒に行動した私達の傍には、逢坂さんが居た。
 いろんな噂が流れる中でも変わらずに居る逢坂さんが、私は少し鬱陶しいと思ってた。
 スーパーで、勝手にカゴに入れようとしては高須君に駄目だと言われ、悪態を付いて戻しに行く繰り返し。逢坂さんに私は呆れた。
 家は別々だった。同棲なんてやっぱり只の噂。でもすぐに逢坂さんは高須君の家にきた。合鍵。その事実は私には面白くなかった。
 私達が台所に居ると、おやつだつまみ喰いだって騒がしい。高須君が偶に与えるモノで少し戻ってく。高須君に少し苛ついた。
 泰子さんが夕飯を一緒にどうかって言ってくれたのが嬉しかった。客用のお椀と湯のみ。逢坂さんのは彼女のお椀と湯のみ。私は見たくなかった。
 康子さんが仕事に出掛けて、私達が明日の段取り等を話してる時、逢坂さんは好き勝手に過ごしては思い出した様に高須君に我が侭を言う。拒絶しない高須君が気に入らなかった。
 楽しい事と楽しくない事を秤に掛けて、私には今日は楽しくない事の方が多かった。
 折角今日を楽しみにしていたのに。そんな迂闊な自分に腹が立った。
 気が付いたら逢坂さんは床で丸まって眠っていた。それを見た高須君は「まったく」と言って逢坂さんを自分の部屋に敷いた布団に寝かせていた。
 なんで?と聞いたら「?床で寝てたら起きてから体が痛いって五月蝿いからな。ま、後で帰ってきたら逢坂の家に運んでいくさ」と笑ってた。
 私には分からなかった。私を想ってくれている筈の高須君がどうして逢坂さんにソコまでしなければならないのか。私は聞かずには居られなかった。でも…
 「……逢坂は孤児だからな……もう独りにはさせたくない」
 私には、微笑いながら語る高須君がとても遠くに感じたられた……
 送ってくれた彼は私のこぼれる思いを受け止めてくれて、それでも逢坂さんをこのままにはして置けないって言った。私はまだ彼に相応しくないのかも知れない。でも、今はただ謝りたかった。
 泣いて謝る私を、高須君はただ許してくれた。いや、多分怒っても責めても居なかったんだよね。
 だから麻耶。私は高須竜児に相応しい人間になって、彼の想いに応える事の出来る女になって、彼と同じモノを見るって決めたの!
 さっき麻耶に全てを話した。勝負はフェアに行きたい。だから勝負よ?麻耶。
 一緒に、精一杯、いい女になろうね!
 
 
 香椎奈々子(父)の日記より抜粋。
 5月16日。
 奈々子……父さんには奈々子の質問の意味がわからないんだがな?
 「ねぇ、お父さん。もし私が孤児になったらどうする?」
 …………私は要らない父親なのか?奈々子ーーーーーー!
 
 
 高須泰子の日記より抜粋。
 5月16日。
 え〜〜。明日は竜ちゃんみんなでピクニック行くんだって〜〜。
 やっちゃんもいきた〜〜いって言ったら〜。今度大河ちゃんと3人でピクニックに行くことになったの。
 楽しみだね〜〜。大河ちゃ〜〜ん。
 
 
 高須竜児の日記より抜粋。
 5月17日。
 ふっ。今日は予定通り、いや、予定以上の成果を挙げた日だったぜ!!
 コレで北村と逢坂の薔薇色の未来に3段飛ばしで5歩は近付いたな。
 ああ。そんな顔しなくても分かるさ逢坂。俺達はもう相棒と同じだぜ右京さん!好きなだけ俺のプリンを食べるが良い。
 全て今日はプラン通りさ!逢坂は与えられたバトミントンを片手に櫛枝さんを引き連れて遊びだした。その時点で1プリンだ逢坂!
 それに呼応して木原さんや川嶋が北村に声を掛け、事のついでに能登と春田を引きずり込んだ。香椎さん済まないな。悪いが俺と裏方に回ってくれ、償いはいずれする。
 料理は出来た。それはもう絶品料理だ。さすが香椎さんだ!君の協力を得たと言うだけでこの日の作戦は成功したも同然だった。
 途中、櫛枝シェフがその腕をご披露しようと動いてはいたが、済まない櫛枝さん。俺はまだ修行中の身。君の味付けを生かす料理は俺には創れない。許してくれ。
 狩野先輩や恋ヶ窪先生も来て俺たちの班はソレはもう、華々しいくも豪華絢爛!緊張して無くてもジャガイモにしか見えない野郎共が生唾飲んで羨む一角と相成った。無論!櫛枝さんの輝きが際立っていたのは記すまでも無い。
 だがココからさ!俺達竜虎がその猛威を振るったのは!…?おう!逢坂。そのアイスも喰って良いぞ。喰え喰え。
 ほんの食後の一時こそ俺達が狙った時間だったな。皆の気持ちが満腹感で緩んだ時、逢坂が良い動きを見せ、櫛枝さんをその場から引き離したのさ。
 OKだ逢坂!まさに刹那に交わしたアイコンタクト!今日の俺達なら翼君と岬君だって軽くあしらえるさ。
 作戦は至ってシンプルだった。ようは北村だ。北村に理想の女性像を刷り込ませれば良いのさ。それも逢坂に合致するようにな。
 だが如何せん逢坂と櫛枝さんではタイプが違いすぎる。櫛枝さんの前で俺が作戦を実行してしまえば、あらぬ誤解を招かないとも限らない。そこでこのコンビプレイだ!誤解は避けたい。
 逢坂が櫛枝さんを引き付けてる間に俺は目的を果たす。ココまでで第1段階はクリアしたのだが、この第2段階が難しかったな。どうやって話を持っていくかが難題だった。が、居たな。まさにスーパーサブが居やがった。
 そのスーパーな男と来たら「ところででさ〜。みんなはどんな女子が好きよ〜?」……春田君。君はダイヤの原石だ。
 そんな原石のナイスなパスを「急に言われてもな」とか「俺はとくに」等と出来損ないのストライカー共が駄目にしやがる。だが案ずるな春田君!君のパスは俺が打ったぞ!
 「……あくまで一般的な意見を纏めるなら、それなりに答えは出てると思うが?」そう。一般的な話だよ櫛枝さん。
 「え〜〜。じゃあ高っちゃんはどんなんが良いの?例えば〜…外見とか」春田君。君とは友達になれそうだな。
 「無論外見なんか関係ないけどな。そうだな〜…強いて言えば髪は長い方が良いんじゃないか?あぁ、あくまで一般論だ。うん」
 「へ〜〜。じゃあ性格が良いとか?」…春田。もはやホワイトデーの事は忘れよう。人は人を許せる生き物なんだな春田!お前は友達だ!
 「まぁ性格も良い方が良いだろうがな。でも余りに普通と云うのも味気無くは無いか?明るいでも暗いでも激しいでも何でも良い。個々確立したものが欲しいな。あくまで一般論だ。うん」
 「は〜〜。でも高っちゃんは料理も掃除も洗濯も上手いしさ〜。彼女になる人は大変じゃね〜?」……浩次。もはやお前を親友と呼ばずしてなんと呼ぼう!
 「そうでもないだろ?別に女が男より家事が優れてなきゃいけないなんてどんな幻想だよ。そうだな、例えば料理なんか、少し男が教える位の余地が在っても良いじゃないか。あくまで一般論だが。うん」
 皆が感心する中に逢坂と櫛枝さんは帰ってきた、ふっ。今日は全て上手く行った、人生最良の日だった。?ああ、レットカーペットでもなんでも見ると良いぞ、逢坂。
 これで明日から北村の女性に関する意識は徐々にこちら側に傾いていく事だろう。しかも逢坂も俺の為に一計を案じてくれた様だ。
 ふっ。不味いな。お前が可愛く見えてきたよ。ああ、良いぞ?好きなテープに録画すると良い。うん…?俺の携帯にメールが来てるって?
 ………今日の日記を締めくくるのは幸せな雄叫びでも書こうかと思ったのだが…なんだ?コレは?
 川嶋。香椎さん。木原さんに狩野先輩…恋ヶ窪先生まで??何故俺に『嬉しかった(な・わ・よ・じゃないか・かな)』って言うだけのメールなんだ??
 逢坂に言わせると「最近は美味しいもんをご馳走してくれたら嬉しかったってメールするんじゃない?ほら!やっちゃんも打ってたし!」流石小さくても乙女だな。だったら、そうだなぁ……『おう!』とでも返しておこう。
 
 
 それにしても…お前からは貰ってないな?逢坂。まぁ櫛枝さんからも来てないしな、2大巨匠にはお口に召さなかったのだろう。不思議と悔しくないが。 
だとするならば北村以下3名の男子から『嬉しいかった』メールが来てないのは納得が出来んな。奴らには少しばかり作る方への感謝の念が不足しているようだ。
 「時に、逢坂。北村がお前の手作りチョコレートをぜひ能登と春田の3人で喰いたいと俺に頼んで来たんだがな?俺の顔を立てて作ってやってくれないか?」
 ふっ。仕方ないなぁと言って顔が垂れたな。北村・能登・春田。礼儀の大切さを病院のベットで味わうが良いさ。
 
 
 
 
 
 
 
 逢坂大河の日記より抜粋。
 5月17日。
 今日は楽しかったな〜。みのりんとバトミントンして、北村君とバトミントンして。
 バカチーも居て木原さんも居て香椎さんは料理を作ってたけど、こっそり手作りのプリンをくれた!!
 ゆりちゃん先生は一緒に笑ってくれる!あの生徒会長は気に食わないけど、でも一緒にしたバトミントンは楽しかった!
 今度の日曜はやっちゃんと竜児と3人でピクニックだ!北村君も誘って良いって!!バカチーも誘おうか?もちろんみのりんも!!
 いろんな夢が叶ってく。いろんな願いが叶ってく!
 楽しいねみのりん!世界はこんなに楽しいよ!みのりん。
 だから今日は少しお礼。こんな世界をくれた竜児にお礼。
 皆が遊んでるのを眺めてたら春田ってのが話しかけてきて「なぁなぁタイガー。所で高っちゃんの好きなのってどんなんなるわけ〜?」
 所詮アホにはわかんないのね。だから分かりやすく教えてあげた。竜児の好きな人はM・Kよって。流石に名前を教えるのはプライベートの侵害じゃない?
 でも所詮アホはアホね。
 「う〜〜ん………真鍋かおり、みたいな?」こけたわね。どうしてイニシャルで苗字・名前に成るのよ!逆でしょ!!!
 言っても理解出来なかったみたいだしもう良いわ。めんどくさいから地面に書いてあげた。
 相合傘に、左にT。右にK。
 流石に「Tってのは高っちゃんだよな〜」ま、全て苗字から始まらないと気が済まないアホにはコレが良いトコでしょ。
 上手くみのりんに見せなさいよ?ソレ。普通の人は分かるから。
 そんな事を話したら竜児は怖い顔で笑ってた。別に俺俺詐欺に成功した顔じゃない、単に嬉しい顔だ。
 証拠に私の制服のスカートのアイロン掛けを始めたもん。
 私は北村君と。竜児はみのりんと。全部上手く行ったらどんなに幸せだろうって思う。
 「やるな大河」って竜児が言うんだもん。あったりまえよって言ってやったわ!こういうのを……そう!策士策に溺れるって言うのよ!!
 違うって言われた。
 竜児は「分かってないな逢坂。今は言うべきは……知らぬが仏さ!」だって!なんか違う気がするけど、今日は二人ともハイなテンションだし、まぁいっか!竜児!ゲームやろう!!
 
 
 能登久光の日記より抜粋。
 5月17日。
 いやいや目の保養になった一日だったな。
 それにしても高須の意中の相手ってのが気になるな。
 どうにもソレを知るのはタイガー一人みたいだし、それはつまりタイガーの気がすすまない限り聞けないって事だ。
 無理に問いただせば命に関わるしな。
 だがどうやら春田は聞き出せたようだ。良いよなアホは。空気読めないで。
 だが内容が…「なんか真鍋がどうしたとか言ってたんだけどな〜」と来た。マジ、友達辞めようかな。
 そしてようやく「ああ!そういえば!」って思い出したのが逢坂が書いたらしい相合傘。
 いや、これじゃ広すぎだろって!
 流石に見た皆も固まってたな。無理も無い。
 ……女子の顔が赤いのが………なんかやだな。
 
 
 北村祐作の日誌より抜粋。
 5月17日。
 今日は楽しかったな。うん。行幸行幸。
 高須にピクニックに誘われたがどうしたものかな。ま、いければ良いんだけどな。
 それにしても高須の好きな人か。逢坂にだけでなく俺にも相談してくれれば良いのにな。力になりたいものだ、親友としては。
 う〜ん。Tは高須でいいとして、K…K…か……き……く……け……こ……。うんやはり分からんな!
 まさかKITAMURAって事はあるまい!わはははははは!
 
 
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