竹宮ゆゆこ総合スレ SS補間庫
   

 

日記。徒然に。。。7


高須竜児の日記より抜粋。
4月2日。
OKOK。まずは状況を総括しようぜ議長。
ココ2日間で俺の頭には名案は浮かんでこない。ココは一つ原点回帰だ!
まず北村は過去に櫛枝さんに告白しフラれた。これに関しては俺は心中で謝罪するしかない。しかし一頭の雌に一頭の雄。これは自然界の掟なのだろう。許せ北村。
そして現在北村は香椎さんとそれとなくイイ感じなのだが、依然、櫛枝さんに残る思いも有るらしい。
それに香椎さんは気付いてる様で?俺に、その、キスをしてきた。北村へのアテツケと思われる乙女の防衛本能なのだろう。
だがこれからが問題だ。今はまだ沈黙を保っているが、アレがアテツケである以上、やはり香椎さんは北村の耳に入れる積りだろう。
しかし北村にそれが伝わればそれなりの騒動は必死!そうすれば…やはり櫛枝さんの耳にも入ってしまう可能性は極めて高い。
確かに無実だ、潔白だ。それでも私はやってないという映画が有ったが、まさに俺だ。主人公には大いにエールを送りたい!
だが…香椎さんを責める事はない。いや、それはしてはならないと思う。彼女も辛い立場だ。この状況下で北村にキレ無いってだけでも、寧ろ素晴らしい自制心だと感服する。
北村にしたってそうだ。確かに憧れは残るのかも知れない。でもアイツの心はもう香椎さんに向かってる。それは間違い無い筈だ。ただ皆少しずつ、ずれているだけだ。これが青春か…苦いな。
今、俺は一歩引いて現状を把握する事が出来る。でも櫛枝さんの耳に入れば俺だって当事者だ。
そうなる前になんとかしたい。多分それが全員にとってベターなんじゃないかと思う。
誰か相談出来る相手でも居ればいいんだが、俺にはどうにも友人が少ない。その少ない友人の内の2人の悩みだ。正直、なんとかしたい。
しかしある意味もっとも頼りになる北村と香椎さんが居ないのは痛い。木原さんは?いや、彼女は明るく元気だがその実とても弱い子だ。いつも泣いている姿が印象的だ。彼女には些か酷な話になるだろう。無理だ。
能登は?論外だな。ゲームと芸能情報以外でアイツが適切なアドバイスをくれるとは思えん。
………おい。俺の友達は打ち止めかよ。いや、クラスの奴等だって話はするし、偶に…そうか。遊んだりはしてないか。
参った。俺はこれほど友達が少ない奴だったのか。これからはもっと友人を作ろう。
いや、今これを言っても仕方が無い。これは2年の新たな目標にするとして、現状はどうするか……!!そう、居るじゃねぇか!
客観的かつ冷静に、そしておそらく正しいであろう判断を下せる人物!狩野先輩だ!!
ちょっと会うには度胸が要るが、今は言っている状況ではない。ココは一つ、狩野先輩の力を借りようと思う。なんとか休みの間に会おう。


狩野すみれの日記より抜粋。
4月4日。
もうすぐ春休みも終わる。
結局私は高須と顔を合わせられずに居る。多分、アイツは私を探してる。
最近、毎日店に来るし、時には2回・3回と来る日もある。
私は自分の弱さのツケを高須に払わせているのか?あいつの真っ直ぐにな想いに、もう答えを出す時期なのかも知れない。
でも、なにを戸惑うんだろうな、私は……アイツの事をよく知らない。それもあるだろう。でもそれだけじゃ無い気がする。
それが分かるまで……会うのが怖いんだな、私は。


能登久光の日記より抜粋。
4月5日。
結局なんにも無かったな、春休み。
また高須でも誘って合コンしよう。あいつこの前来れなかったしな。
ま、お互いさもしい独り身だからな。ココは助け合いだな。うん。


香椎奈々子の日記より抜粋。
4月5日。
もう、ほんとにどうなっちゃうのよ!このままじゃ、新学期もオチオチ迎えられないじゃない!
ちょっと少し整理しましょう。このままじゃ不味いわ。
麻耶は高須君と北村君のどっちも好き。これは前から知ってる。
高須くんは……私を、選んで、待っててくれてる。これもいい。ごめんね高須君。
北村君は恋ヶ窪先生を好き。私には理解出来ない。でも年頃の男の子が大人の女性に惹かれるのは無理は無いのかも知れない。
私は高須君の事を、多分好きだと思う。
でも良いの?もし私が高須君の思いに向き合ったら、麻耶は全部失う。それを分かってて、それほどに高須君を好きかと言われれば即答は出来ない。
秤に掛けるべきではない人達が、秤に乗ってしまってる。今はそんな状況。
私が引けば、何かが収まるんだろうか…誰かが…引けば…そして
私がいっそもっと高須君を好きになれれば……みんな上手く行くのかなぁ


木原麻耶の日記より抜粋。
4月7日。
何度も奈々子からメールをもらってる。他愛も無いメール。でも心配してくれているのが分かる。
もう自分独りではどうする事も出来ない状況なのかも知れない。
まるおは恋ヶ窪先生の事を想ってる。
そんな彼の言葉で、私ははっきりと認識しちゃった。まるおの事をホントに好きなんだって。
でもそんな私に、高須君は想いをくれる。押し付けないで、入り込まないで、それでも優しく包んでくれる。このマフラーみたいに、温かく。
そんな高須君の事を、きっと奈々子は……
何も捨てられない、何も選べない。私はただの臆病者。でももう少し、もう少しだけ、こうして居たかった。居たかったのに……


櫛枝美乃梨の日記より抜粋。
4月8日。
今日ウチの店に大河が来た。なんか元気無い。
夕食を食べ終わってもだらだらと時間を潰してる。すごくつまらなさそう。
どうしたの?大河。
なんか少しだけ、大河が小さく見えた気がした。
私はあとどれ位、踏み込んで良いの?大河。


川嶋亜美の日記より抜粋。
4月10日。
上手くママを説得出来た。ヨッシャ!これであの変態ともお別れね!
行き先は伯父さんの家で、通う学校はママに一任になった。まぁこの際どこでも良いわ。ようはこの町から離れられればなんでもいい。
もしかしたら伯父さんちの近くに居た奴と同じ高校かもね。何てったっけ?たしか…佑作よね。ま、一応調べトコ。
あぁ、もう細かい手続きが面倒臭い!明日からでも行きたいのに、もう!!
でもなんか疲れるのよね。ま、どこ行ったって一緒か。私の周りなんて、何処も一緒…


高須竜児の日記より抜粋。
4月14日。
………俺は自分の不甲斐無さを今日ほど痛感した事は無い。いや、鈍さと言い換えても言い。これは既に犯罪の域だ。
今日ようやく俺は狩野先輩を捕まえた。スーパーで見つけて、用事があると言う狩野先輩に何時までも待つと言って時間を貰った。
少々強引だったが、それでも狩野先輩は夜に時間を取ってくれて、近くの公園で俺達は会う事が出来た。
気まずいからな。この前のマフラーや、その後のお礼の事は触れないようにした。これでも気を使った積りだ。
当り障りの無い会話だったが、どこか穏やかな時間だった。狩野先輩はやはり色々と話しやすいな、と思う。
だがやはり何時までもと言う訳には行かない。あの人にもそれは分かっていたんだろう。「それで?」と話を促そうとしてくれた。
こんな所まで、彼女に頼る俺が情けなかった。
俺は教えて貰いたい事が有ると言うと、狩野先輩にはそれも分かっていたようだ。「頃合か」と溜息を付いていた。やはり凄い。
同じ生徒会に顔を出す北村の事を心配してくれていたのか。皆がアニキと慕うのも頷ける。
だがココで気付く事が出来ない俺はもう死んだ方が良いのかも知れんな。
先輩は間を外すように自動販売機の前に立ち金を入れようとしてた。ココで動けた俺は自分で自分を誉めたい。
取り敢えず自分で金を入れようとしてる先輩を後ろから止め、すかさず俺は自分の500円を入れてコーヒーのボタンを押した。
いつも狩野先輩が飲んでいるコーヒーは把握済みだ。120円になって20円多いが、まぁこれは正月からの利息だ、受け取って貰おう。
4ヶ月以上……やっとココまで来たと言う思いがあった。狩野先輩も存外頑固で困ったものだ。
まあ、狩野先輩は中々コーヒーを取ろうとはしなかったが、それでももう買ってしまったからな。あとの祭りだ。今日は俺の勝ちですよ?狩野先輩。
確かに狩野先輩の言うように強引だったがな、それでも俺はこうしたかったのさ。男のケジメだ。100円とは言え、払わせたままにしておくのは忍びない。
ただゆっくりと下がる狩野先輩の右手だけは掴み止めさせてもらった。お釣は俺のモノだ、380円。
ただ其処からだな。俺が自分の鈍感さに有罪判決を下すのは。なんで俺は気が付かなかったんだ?
狩野先輩はそのまま俺に凭れ掛かって目を閉じていた。ただ「少し疲れた」と言って。
よく考えたら先輩はただ1つだけ年上の女の子ではないか。生徒会長としての狩野すみれ。頼りになる先輩としてのアニキ。家業を手伝う娘。
俺に胸元に伝わってくる狩野先輩は細くて軽くて……疲れ果てている女の子だった。そんな人に、俺はこの上俺の悩みまで持ち込むのか?
そんな事にココまで気が付かないなど俺はもう病院に行った方が良いのかも知れないな!馬鹿者が!!
「教えて欲しいか?」と狩野先輩は言う。そんな訳はないだろう?もう充分だ。
先輩はただ自分は「すみれ」だと言う。俺が「ヤンキー」と言われる様に、彼女もまた「会長」や「アニキ」と呼ばれ続けていたのだろう。
だったらせめて今だけは。先輩が望んでいる時だけは、俺はそう呼んでやりたかった。
もう学校が始まる。俺は自分の問題を他人に押し付ける事はしたくない。
あるがままを受け止めて行こう。これ以上、情けない自分を晒す訳には行かないからな。見ていて下さい!狩野先輩!


逢坂大河の日記より抜粋。
4月14日。
もうすぐ一学期だ。今度は北村君と一緒のクラスになりたい。
そうなればきっと楽しい場所になる。みのりんとは離れたくない。
クラス名簿を自由に操作出来たら良いのに。いっそ忍び込もうかしら?
でも北村君に迷惑かけたら?私は……上手く立ち回るなんて出来ない。みのりんみたいに笑えない。
ムカつく事は我慢できない…迷惑掛けて嫌われたら…私は。


狩野すみれの日記より抜粋。
4月15日。
明日からいよいよ新学期だな。私も3年か。アイツは…どうせまたクラスに溶け込むのに時間が掛かるんだろうな。
さっきメールしてみたが、どうやらそれが悩みの種らしい。なにやらイメージの変わる整髪料とやらを買ったらしいが、無理だと思うのだがな、お前は。
でもアイツとの些細なやり取りが楽しい。ほんと、やきが回ったな、私は。
昨日の夜、アイツが私を抱きとめた時、驚いたが、落ち着けた。私の気持ちを聞きに来ておいていきなり後ろから抱き付くのは反則だと思うのだがな?私は。
腰に回されたアイツの腕が温かかった。抑えられた右手が熱かった。
「やっとココまで…」それを聞いた時、どこか力が抜けたな。アイツの想いが、一気に流れ込んできた気がした。
意地を張って疲れたと言う私をアイツは受け入れてくれた。随分と広いじゃないか?お前の胸は。私が凭れ掛かっても微動だにしないな。
強引だな?と言ったら、「これ位で丁度良い」と言いやがった。
聞きたいか尋ねたら「もう充分だ」と言う。随分と分かった口を利くじゃないか?
重くないか聞いたら「羽根みたいです」だとさ。無論、重いなどと言ったら死刑だ。
私はすみれだと言ったら「俺は竜児です」か。
ただ「竜児」と呼べば、静かに「すみれ」と返して来る。自分の名前がこんなに綺麗に聞こえるなんて意外だったな。
呼んで、呼ばれて、呼んで、呼ばれて…我ながら馬鹿馬鹿しい時間の使い方だ。だけどなんだろうな。嬉しかったんだろうな、私は。
しばらくしてアイツは私を解放した。ま、私が足に力を入れただけか。てっきりあのまま……でも去ったな、アイツは。
結局私は何も言ってないしな。でも良いのか?と聞いた私に「もちろんですよ」と言ったあの顔は、いい顔だったな。うん。
良い顔だったぞ?竜児。


恋ヶ窪ゆりの日記より抜粋。
4月16日。
どうしてよどうしてよ!
私のクラスは一体どういう基準で決まったの?
逢坂さんはまだ良いのよ。うん。それだけなら去年もそうだったし。でもね?なんで高須竜児君まで私のクラスなの!!
大橋高校の2大番長を一つクラスにまとめるなんて正気じゃないわよ!
どうしよう母さん。助けて!竜!!!


香椎奈々子(父)の日記より抜粋。
奈々子よ。とうとう今日、父さんの携帯電話もパケ放題にしたぞ?
まさかお前が「私がもっと高須の好きにされれば、みんな上手くいくのかなぁ」なんて事になってるなんて…くっ!ダメだ、涙で日記が滲む。
お前が皆の為に人身御供になっているとは…畜生畜生畜生!!!待ってろよ奈々子!必ず復讐は果す!
教えてくれ奈々子!闇サイトとはどのコンテンツにあるんだ?イベントとか着メロか?パケ放題を舐めるなよ高須竜児!おや?フルブラウザってのにすれば見易いじゃないか。よし、今夜は徹夜だ。


北村佑作の日記より抜粋。
4月17日。
今日から新学期だ。
それにしても新しいクラスはなんとも楽しそうだ。
高須に櫛枝、逢坂も木原も香椎も居る。あ、能登も居たな。
なんとも愉快なクラスになりそうだ、うん!
それにしてもまさか初日に高須が逢坂の洗礼を受けるとは思わなかったな。ま、おかげで高須への誤解も早々に溶けそうで何よりだ。
その点は高須も喜んでいたしな。
それにしても逢坂と同じクラスとは、俺もまぁ……良い機会なんだろうな、うん。
新しく、向き合っていこう、逢坂と。


木原麻耶の日記より抜粋。
4月17日。
なんかとんでもないクラスになっちゃった。
高須君とまるおに、奈々子。担任がなんで恋ヶ窪先生なの!
もう関係者全員集合じゃない!
はぁ………どうなるんだろ、私。


香椎奈々子の日記より抜粋。
4月17日。
なんかとんでもないクラスね。わざとかしら?
私達みんなC組なんてあり得ないわ。よっぽど相性良いのかしら私達。
でも、大変だけど楽しそう。きっと楽しい。そう思う。
だから明日からまた学校が楽しみになった。いい事よね?本当に。


逢坂大河の日記より抜粋。
4月17日。
どうしようどうしよう。ききききき北村君と同じクララララスになったわ。
みのりんとも一緒だし、もう最高じゃない!!あぁ、でもウザイ事もあったわね。また何人かぶちのめしたし。
手乗り手乗りって五月蝿いのよ!てか、アイツも居たわね、高須…なんてったっけ?……あぁ竜児か。
ま、いつも通りお見舞いしてやったし、今後は近寄って来ないでしょ。みんな……そうだもん。
でも参ったわね。アイツって北村君と仲良いのよね。ホント、変な事言い触らされる前にトドメ差しといた方がいいかしら?


武井とやらの日記より抜粋。
4月17日。
おおお、A組のみんなヨロシク〜。
いや〜女子の目が冷たいかったのなんの。
……!そっか、告白した人結構居るんだよな俺って感じ。みんな久しぶ…ってトコで殴られた。
前途多難だな〜。


恋ヶ窪ゆりの日記より抜粋。
4月17日。
……終わったわ。
流石ね、逢坂さん。まさか初日に高須君と殺り合うなんて。
高須君は手を出さなかったそうだけど、時間の問題よね……学び舎は戦場なの?防弾チョッキってどこで売ってるのかしら。
竜、助けて。でもダメよね。この上、竜まで来てしまったらホントの戦場になっちゃうもん。死体の山ね。
なんとか頑張るわ、私!
さぁて、今夜も竜を探しに行ってこよ〜〜っと。


高須竜児の日記より抜粋。
4月17日。
わはははははははは!!!正にこの日の日記を書く為に存在していたかの様に日記帳が神々しい光を放っているぞ!聖書なんてアウト・オブ・眼中だ!
終に汚れ白紙え打算と尾名じ蔵素に那れ多……落ち着け俺。
ついに俺は櫛枝さんと同じクラスになれた!!よく出来た俺!
しかもまともに会話も成立しちまったじゃねぇか。チョコのお礼も満足に届ける事の出来ない俺が!!
俺が櫛枝実乃梨の名前を忘れる訳が無いだろうに、ソレを聞いて熟れ死異…嬉しいと言ってくれたぞ!!参ったぜ俺のテンション。はっはーー!
しかし何故だ?櫛枝さんの横に有ったあの生き人形はどう言う怪奇現象なんだ?
手乗りタイガーなどと云う中々良い得て妙な人物から、俺はモーニングパンチをお見舞いされた。
手乗りサイズのタイガーなのか手乗りサイズな大河なのか、大河サイズのタイガーなのかは分からんが、一体アレは何なんだ。
だがまぁ、奴にも礼を言わねばならんな。おかげで俺は手乗りサイズの女の子に一撃でのされる位に普通な男子高校生で有る事がクラスの皆に分かって貰えた。おいおい、去年の相互理解最速記録をブッチギリで更新だぜ。
ココ迄なら今日は俺の人生で最高の日であり、俺と櫛枝さんの運命の始まりの日であるメモリアルデーだったのだが…何故だ櫛枝さん。俺には君が分からない。
櫛枝さんは俺のトコに来たかと思えば、あのお人形さんの事を俺に謝るではないか。別に櫛枝さんが謝る事じゃないだろうに。おまけに
「大河は私の親友なんだ。だから出来れば、高須君も大河と仲良くして欲しい。お願いだよ。プリーズ」ときた。
聞けば逢坂大河と名付けられたあの小さな同級生は、その凶暴性から1年の時もクラスで浮いた存在だったそうだ。2大番長の1人だとか。もう1人は聞きたくないから聞かなかった。
まいったな櫛枝さん。君は優しいんだな……君が俺と仲良くなってしまえばあの凶暴人形チャッキーもどきが孤独になってしまうと云う訳だ。
ならばコレは君が俺に与えた試練!この人喰い虎を見事飼いならせと言うんだな?君が安心して俺の隣に来れるように!
OKだ櫛枝さん!ノープロだ櫛枝さん!!安心して全て俺に任せれば良い!!いや〜。人生は薔薇色だ〜。わはははははは。
………一緒のクラスになれたね!と香椎さんからメールが来た………
忘れてたぜGOD………北村と香椎さんに早く仲直りしてもらわねぇとマジィじゃんってば俺!


狩野すみれの日記より抜粋。
4月20日。
まだまだ校内も落ち着かないようだが、まずまずの新学期だな。
まぁクラスも部活も委員会も、あと1・2週間もすれば機能するだろう。ソレまでは何かと生徒会で忙しくなるな。
「余り無理をするな」とお節介な奴からもメールが来てるしな。まぁ程々にしておくさ。
それにしても何だろうな、このデコレーションメールと言うモノは。
どっちにしても興味は無いがな……


木原麻耶の日記より抜粋。
4月22日。
今日、クラスで班決めをやった。
なんだろう。そうする事が自然みたいに、私はまるおと高須君に声を掛けてた。
二人も普通にOKって感じ。なんかずっと一緒にいた仲間みたい。すこし嬉しかった。
まるおに高須君に私に奈々子。後は男子が能登君と春田君に女子が櫛枝さんと逢坂さん。
能登君は高須君と1年の時一緒だったって言うし、例の合コンも彼なんだよね。
それで櫛枝さんはまるおと同じソフト部で春田君は櫛枝さんと逢坂さんとは同じA組だったって。
特に違和感が有る訳じゃ無いけど、やっぱりどこか逢坂さんは怖かった。
どこか不機嫌なオーラを出してるっていうか。
櫛枝さんのテンションもかなりビックリしたけどさ。でも面白いから良いかな。あまり深くは付き合えないかもだけど。
やっぱり私はどこか答えを出したくないんだと思う。このままが良いって思う。そんな事、出来る訳無いのにね。


香椎奈々子(父)の日記より抜粋。
4月23日。
DOCOMOから凄まじい請求が来た。フルブラウザとは別料金なのか?
この金額は奈々子の怒りを買って、そのお釣りで奈々子の恨みを買える金額だ。
何とか気付かれる前に処理したい。へそくりを出さねばなるまい。
これも貴様の陰謀か!高須竜児!!

4月24日。
………夕食がお米とキュウリ1本だった……奈々子、ごめんなさい。


高須竜児の日記より抜粋。
4月25日。
今日の放課後、歩いてたら「はぁい!そこの推定有罪少年、手を挙げて止まりなさ〜い」と声を掛けられた。
悪夢な長野旅行の時にお世話になったお姉さんだった。よく分からんが何しに来たんだ?あの人。
それにしてもやたらカッコいい真っ赤なスポーツカーだったな。なんで車内に消火器が積んで有るのか謎でしかない。
ちょっと野暮用でこの街に来たらしい、俺を見かけたのは偶々だそうだ。そんなに目立つのか?俺は。
送ってくれると言うので車に乗せてもらったが、もう2度と乗るまい。まぁ機会も無いだろうが。
あの人は一度制限速度と云うモノを漢字の読み方からやり直した方が良いな。いろんな意味で。
しかし行き成り「で?合コンの娘とは上手くいったの?確か女子ソフトボールの娘だっけ?」と来た時は言葉を失ったな。よく覚えてんなこの人。
いってるわけが無かろうに。随分愉快な事を聞いてくる。
どうにも要領を得ない人だし、一枚や二枚どころか数えるのも馬鹿らしい位枚数も上にいる様な感じを受けるんだよな、この人。
俺は家に送ってもらい、お姉さんはまたスポーツカーでかっ飛んでいったな。ホントに何しに来たんだ?
あっ。また名前聞き忘れたな。ま、いいか。
それにしてもまた最後に変な事言ったよな、あの人。
「君は何とかしようと思ってるんでしょうけど、その手乗りの虎さん。結構手強いと思うわよ?なんとか出来るの?」だとさ。
つまんない事聞くなよな、お姉さん。櫛枝さんの為なんだぜ?


櫛枝実乃梨の日記より抜粋。
4月25日。
今日、グランドに変な人が来たの。
もの凄く美人で、どっかで見たこと有るんだけど今一思い出せない。けどその人が急にバット持って打席に立って
「ねぇお嬢さん。一球勝負、お願い出来る?」って。
なんか断れない雰囲気だったし、何より…あの人の目が、私の全部を見透かしてるみたいで……負けたくなかった。
思いっきり投げて。思いっきり打たれた。
正直驚いた。でもあの人は楽しそうに私を眺めて「う〜ん…いい線行ってるんだけどな〜。うん、60点、かな」どこか楽しそうだった。
でもあの人の背中に、また今度勝負して貰えますか!って言ったら振り向いて「80点!」って微笑って真っ赤なスポーツカーに乗って消えた。
あの人が誰かは知らない。でもいつか……勝ちたい。それはソフトでは無いのかも知れないけど、あの人にいつか、100点と言わせて見たいと、私は思った。


川嶋安奈の日記より抜粋。
4月25日。
ふふふ。今日で手配も手続きも完了。亜美もGWが終わればあの学校ね。
そうそう。高校に挨拶に行った帰りに彼を見かけた。ほんと、久しぶりね、高須竜児君。
車に乗せて少しドライブしたけど、真っ青になってったわね。少し飛ばし過ぎたかしら?
なにやら温泉旅行に行ったり、新しいクラスには虎みたいな凶暴な女の子が居るとか。やっぱり楽しそうね、貴方の周りは。
彼を送った後で通りかかった球場で、大橋高校のソフト部の子達が部活動をしてた。
少し見てたけど直ぐに分かるわね。一人、変な子がいた。うん。色んな物を押し込めて仮面を被ってる。
ちょっとだけ遊んでもらったけど、良いわね、あの子も。
まだちょっと合格はあげられない。でも悪く無いわ。
彼が好きになるとしたら、きっとあの子ね。あんまり普通な子だと意識もしないでしょ?彼は。だからこの部で彼の目に止まるのはあの子だけ。
でもお嬢さん?ウチの亜美も結構変わってるのよ?彼の目に止まるくらいにはね?
それにその小さい虎さん。ホント、羨ましいわ亜美。貴女きっと最高の高校生活を送るわよ?彼の傍に居ればね。
手乗りの虎を何とか出来るのか?と聞いた時の彼の顔は良かったわね。
「上等ですよ。奴が虎なら俺は竜ですから」
ふふ。やっぱり貴方、合格よ。