竹宮ゆゆこ総合スレ SS補間庫
   

 

日記。徒然に。。。6


川嶋亜美の日記より抜粋。
3月18日。
もう最近異常だ。アイツはどうして私の行く場所がわかるのよ?
もう少しで学校も春休み。そうなったら家と仕事場の毎日だし、アイツは何処まで来るんだろう。
でも、ママやパパには言えない。迷惑かけたく無い。
あぁ、腹立つ。ムカつくのよアイツ!!


木原麻耶の日記より抜粋。
3月20日。
あれ以来、高須君とは話をしていない。よくよく考えても私もどうかしてた。
あの時は私のイニシャルの入ったマフラーが嬉しくて、つい。
でも彼の気持ちに、私はまだ正面から向かい合えない。だってまだ、まるおの事も好きだし。
自分が都合の良い事言ってる事は分かってる。それでも……まだ、答えは出せないよ。高須君。

3月22日。
奈々子から旅行に行かないかと連絡が入った。もちろんOKしたけど…泊まりって本気?奈々子。
奈々子と私、そして…北村君と高須君。
2人にはもうOKを貰ったみたい。でも、いいの?高須君。私まだ返事して無いんだよ?
それに、やっぱり男子と泊りがけで旅行って……28日かぁ。
なんか、一番慌しくてゆっくり出来ない春休みが、とんでもない事になっちゃったな。
今夜は眠れそうに無い。


北村祐作の日記より抜粋。
3月22日。
28日に木原と香椎と高須の4人で温泉に行く事になった。香椎は聞いてたが木原はいつの間に高須と仲良くなったんだ?
前に高須は木原に怖がられてると気にしていたが、まぁいい。何にせよ仲良き事は美しきかなだ。
それにしても温泉とは良いな。日ごろの疲れを癒す良い機会だ。
なにしろ裸の付き合いと言うのが良い!
やはり人間関係はこうして良好に構築されていくべきだからな!
高須よ!朝まで語り会おう!男同士、裸の付き合いで!わははははは。


香椎奈々子の日記より抜粋。
3月22日。
お父さんの常識を疑ったわ。どうして泊まりで手配しちゃうの?
そりゃ確かにホワイトデーにパンフを数枚用意したし4人料金に○付けたけど、泊まりは無いでしょ!泊まりは!!
日帰り旅費込み位のプランで良かったのに。ホントにしょうも無いお父さん。
誰と行くのかって聞くから麻耶達と、って言ったらニコニコしてた。
あんまり常識無い様だと、ホントに一度懲らしめるべきね。でも良かった。北村君と高須君が了解してくれて。
4人部屋なのは言って無いけど良いわよね?麻耶にも言って無いし。
責めるならお父さんを責めてよね。こう見えて私だって困ってるんだからさ。


高須竜児の日記より抜粋。
3月22日。
いや、無いだろ泊まりは。香椎さんには言えないが、どうにも今の俺には、冷静な状態で木原さんと狩野先輩と、あといろんな意味で春田と会う自信が無いぞ?
確かに日ごろの疲れをとるのに温泉は良い。俺も香椎さんも学校に家事に忙しいからな。
だが香椎さんと木原さんは良いのか?俺や北村は問題ない…て事も無いが、女子程は無いだろう。
でも香椎さんにそうメールしたら「信用してるから平気よ」と来た。
ふっ。見たか聞いたかインコちゃん!高須竜児16歳。教師やPTA、万引きGメンに警備員に警官・刑事!挙句に公安にまで尋問された(長野秘話)この俺が、ついに女子高校生から信用された瞬間だよインコちゃん!
良いだろう香椎さん。その言葉確かに受け取った!
たとえどんな無頼漢が現れようと、君達2人は俺が守る!
精々君達2人に失礼の無い様、そうだな、あの合コン用の勝負服でお供するぜ!!


香椎奈々子(父)の日記より抜粋。
3月22日。
……確かに温泉旅行をプレゼントしてやったがな?奈々子。
良いのか?なんかお前が高校に合格した時よりぶ厚いステーキが私の夕食に出されてたが……
噛んで消える霜降り牛など新婚旅行以来だよ奈々子!
私の給料で買えたのか?あんな肉が…いや、喜んでくれたのは良いんだがな?確認しとくが、本当に女の子同士で行くんだよな?
そうか。お前が、もちろん!と言った言葉を信じよう。うん。
しかし、あの幻の大吟醸『関東の華』、よく手に入ったな。


恋ヶ窪ゆりの日記より抜粋。
3月24日
ちょっと!高菜社長が指名代えってどう言う事よ!
やっぱり可憐の奴、枕営業してるってホントなのね!ちょっと、お水に世界にだって仁義てもんが有るでしょうに!
コレだから最近の若いホスはなってないのよ!
あぁ、もうどうしようかなぁ。やっぱ片瀬さんの同伴ずらして佐野部長と同伴しようかしら。見たらチャンスボトルなのよね〜。
………最近、何か忘れてる様な気がするんだけど………何かしら?


狩野すみれの日記より抜粋。
3月26日。
我ながら抜けていたな。考えたら私は高須の携帯電話もメアドも知らない事に気が付いた。
この春休み中に会えれば良いんだがな。学校では、その……シメシがつかんだろう!うん。
問題は休み中に会えるかどうか。アイツの姿を見ると、何故か色々と用事を思い出して部屋に戻ってしまって、あれ以来話してないしな。
困った奴だ。


櫛枝美乃梨の日記より抜粋。
3月27日。
今日で部活は最終日。次は新学期、そして新学年での活動。
私の1年は終始ソフト部の活動とバイトで埋まってたけど、充実した1年だと思う。
明日からはまたバイトだ。私の前世は回遊魚なのかな?止まったら死んじゃいそう。
じゃあ大河は?ピラニアかな。なんて言ったら怒るよね?北村君はマンボウでいいや。
でも、だったらアノ人は鮫なのかな?高須竜児君。
今日もたまたま部活の帰りに北村君達と歩いてたら商店街で見かけた。
北村君は声を掛けたけど、「殺すぞ?」って感じで睨まれた。
でもなんか違う気がするんだけど……よく分かんないな。流石に私も気軽には声を掛けないしね。
北村君は「アイツは良い奴だ」って言ってるし、なんか大河の携帯に、「高須竜児」の名前が登録されてた。理由は聞かなかったけど。
でも全く接点が無かった訳でもないのよね。まぁ、ニアミスって感じかな?
何度か北村君の横に彼が居た時に私が行った事も有るし、たしか挨拶も何度かした事あるはず。
先月はなんか、うひゃひゃ〜とかあひゃひゃ〜とか言ってたような気がするし。あぁ!でもずっと前に「お前よぉ」って睨まれた事あったかな。
やっぱ怖い人なのかな〜。よく分かんないや。


香椎奈々子の日記より抜粋。
3月28日。
この旅に来た事は、私にとっては良かったのだろうか?今はまだ分からない。
麻耶は泣き疲れて眠ってしまった。
明日には麻耶にも笑顔が戻ってくれると良い。それは無理な話だろうか。
温泉に着いて早々に北村君はお風呂に入りに行った。喜んでくれてよかった。でも高須君の格好にはほんの少し参った。
合コンの時に私のあのアドバイスを100%聞いたと言っていたのを覚えていれば、今日の服装も明言しておいたのに。
なるほど。あの時のアドバイスを忠実になぞればこうなるのか。不思議ね、着替えしか入ってない筈のボストンバックに『WARNING』なマークが見えた気がするわ。
3代目就任を間近に控えた若頭な高須君のおかけで、私達はVIP並の待遇なのか、レアな感染患者の隔離扱い並なのか、別館の2部屋をあてがわれ、飲み放題食べ放題のプランをサービスされた。
一部屋しか取ってないと言われて驚いた高須君に更に驚いた支配人さんが、うっかり二部屋取ってたのを忘れてたんだって。ほんと……ごめんなさい。
いつもと違う場所。いつもと違う空気。ホント、楽しかった。
心配はしてたけど麻耶もいつもの元気を取り戻したみたいだし、意外に4人で過ごす時間は穏やかなものだったわ。なんかイメージと違ってた。
真面目な北村君は結構はちゃめちゃ。タオル1枚でウロウロするのは止めた方が良いわね。麻耶が真っ赤になってたもの。
高須君はどっちかと言うとイメージ通りだったかな。世話焼きで苦労性。私達の保護者みたいね。
流石にお酒は呑まなかったけど、随分と豪勢な料理が出た。ごめんねお父さん。多分ウチはもうココ予約は出来ないと思う。
夜もお風呂に入って、少し皆でおしゃべりしたりして、楽しかったんだけどな…麻耶が一人で出てってから少しして帰ってきた。
でもどうしてこんな事になるのよ……北村君が、恋ヶ窪先生の事を…
私にはもう、麻耶の寝顔にある涙を、拭ってあげる事しか出来ない…たすけてよ。高須君。


逢坂大河の日記より抜粋。
3月28日。
今日、あの男からまた電話が来た。
2年に進級したら少し生活費の仕送りを増やすそうだ。
たったそれだけの用事しか無いあの男を軽蔑する。あんな男の金が無ければ生きてゆけない自分を軽蔑する。
ムカつく。この世の中の全ての事がムカつくよ、北村君。
誰かに何かをぶつければ、この苛立ちは無くなるの?誰に何をぶつければ、この苛立ちを消してくれるの?
こんな夜は独りが怖い。こんな夜は、怖いよ。北村君。


高須竜児の日記より抜粋。
3月28日。
今日俺は人生の岐路に立った。いや、今現在立ってるな。
愛と友情。そのどちらも尊く掛け替えの無いモノなのに、俺はそのどちらか一つを選ばねばならないのか。
今日の温泉宿は中々豪勢で、手配してくれた香椎さんには感謝の念に耐えない。かなり高かったんじゃないか?
まぁ一瞬、一部屋の予約で、なんて聞かされたからな。一部屋って、マジですか!って聞いたら「一部屋って言いました?!あぁ二部屋でした!間違えちゃったぁ」と笑ってくれた。
従業員も良い人達だ。ぜひまた来よう。
いや!ソレは良い。そんな楽しい温泉ライフはもはやどうでもいいんだ!問題はさっきの北村だ!
男同士で語り合おうなんて言うから足湯でのんびりしていたら、好きな奴がどうとか言い出した。酒でも呑んだのかと思ったぞ、北村。
聞けばアイツには好きな女の子が居て、前にフラれたらしい。おいおいホントの恋バナかよと思ったね。俺には無縁と思っていたからな。北村、お前は良い奴だ!
そりゃあ気になるからな。聞くさ。
ウチの学校か?「無論だ」と言う事だ。
同い年か?「まぁな」らしい。
何組とか聞いて良いか?「もう終わった話しだしな。A組だ」………まて北村よ。A組にはとんでもなく輝く綺羅星が一つ有るんだがな?貴様まさか…帰ったら競馬新聞を買おう。今の俺は予想屋を超える。
どんな……女だ?の問いに、奴が答えた。「ん〜?…まぁそうだな、変わってる人だ」
なるほど神よ。アンタには余程俺の顔が宿敵悪魔に見えるんだな?
A組在住の変わった女など櫛田実乃梨をおいて他には居まい!居る訳が無い!!
言っておくが櫛枝さんの奇行は彼女の可愛さの裏返しでもあるのだ!さすが北村、皆が見落としたその魅力に気付いたのか!
しかし俺は自らの恋敵と友好を結んでいたのか。俺は北村と櫛枝さんはただの部活仲間と思っていたが、誤解とは恐ろしいものだ。
だが待て、奴は終わったと言っていた。ならば…俺は櫛枝さんからチョコを貰った。
俺の……所為か?
確かに俺は櫛枝さんが好きだ。今は少しのすれ違いで櫛枝さんとは距離がある。だが、その距離が無くなったら?俺達の姿を見て、北村はどう思う。
お前はまだ、好きなのか?…その、A組の…俺が名前を躊躇う中でもアイツは微笑っていたな。
「わからん。…まぁ精々憧れてるってところかな、今は……」
そうか、そんなに眩しいのか、お前にとっては。分かるぞ北村。俺も同じだからな。でも奴は切り替えている様だ。
最後には「また違う恋でも見つけるさ。実はそれとなくもう居るしな。凄い人だし高嶺の花だ。俺の甲斐性じゃまだ、な」お前は強いな、北村。
だが俺は決心が付かないでいる。櫛枝さんの隣で笑う俺になりたい。だが、それはそのまま北村との溝を生むのではないか?
コイツはそんな器の小さい男じゃない。だが男女の恋愛に人の器なんて些細な事なんじゃないのか?
いっそこの湯に全ての悩みが溶けてしまえば良い。俺はそう思って、北村の去ったこの場所でコレを記す。


川嶋亜美の日記より抜粋。
3月29日。
もう限界!有り得ない!!今日の撮影現場にアイツが居た。
もう殺してやりたい。でも私に何が出来る訳でもない。だって見られるのが仕事でしょ?でもだからってなんで我慢しなきゃなんないのよ!
いらいらで身体の維持が難しい。それもムカつきに拍車を掛ける。
もう逃げたい。でもあんな奴に負けたくない。もう、どうして良いか分からない。
きっと明日もアイツは居る。どっかに居るんだ。明後日だって、そのつ


木原麻耶の日記より抜粋。
3月29日。
疲れた2日間だった。どちらかと言うと精神的に。
最初は楽しかった筈なのに、夜に出歩かなければ良かった。
「まだ好きなのか?A組の…」高須君の声だった。なんかもう普通に話せる私達が嬉しかったから、私も一緒にって思っちゃって。そんな単純な私だから、聞いちゃうんだ。
「まぁ、先生に憧れてるってところだが、今に……」て…高須君も「そうか」ってなんか思いに耽ってた。
A組の先生って、恋ヶ窪先生だよね?そりゃ確かにあの先生も独身だし、その、スタイルとか顔だって悪くないけど。でも教師と生徒じゃない!絶対変だよ。
のろのろと部屋に帰ったのを覚えてる。
でも私泣いてた。こうなって分かるんだね。まるおの気持ちが自分に向いてないって分かった事が、私は悲しかったんだ。
奈々子にはきっと色々言ったんじゃないかと思う。どうして!って、変だ!って。
今朝起きたら酷い顔だった。
でも奈々子は何も言わないでメイクしてくれて、丁寧に髪にブラシを通してくれた。なんか温かかった。
でも不思議だよね。ばっちりメイクしてくれたのにさ「なんだぁ?な〜にまた泣いてたんだよ?木原さんはさ」って、高須君が頭を撫でてくれてた。
奈々子もビックリしてたかな。まるおは「なにか心配事か?木原。相談にはいつでも」って言って、奈々子に足を踏まれてた。災難だね、まるお。
でもまいったなぁ。気持ちが向いてないまるおの事、思いっきり意識しちゃうし、どこか高須君に甘えてる自分も居る。
私はどんどん宙ぶらりんになっていく。どうしたら良いか分からなく…なって行くなぁ。


香椎奈々子(父)の日記より抜粋。
3月29日。
どういう事だ?奈々子が深く深く悩んでいるようだ。
なにも手に付かないといった風だ。一体温泉旅館でなにが有ったんだ奈々子!
夕食はお粥みたいなご飯だし、魚は生焼けだし、コーヒーは蜂蜜の如く甘いぞ?
さっきなどお風呂から上がって下着姿でリビングに来て、私を見るなり椅子で殴って変態扱いされてしまった。
それしても立派に成長したな奈々子。父さんは嬉しいやら心配やらで大変だぞ。
しかし頭部の出血が止まらんな。これはやはり病院にいかねばならんか。リビングの血の海も何とかしたい。
どうでも良いが奈々子よ。砂嵐のテレビをぼ〜っと見続けるのは止めなさい。目に悪いから。
さて、取り敢えず病院に行こう。明日からリビングでは座布団を使おう。


高須泰子の日記より抜粋。
3月29日。
今日は竜ちゃんが旅行から帰ってきたの。竜ちゃんが居なくてやっちゃん寂しかったな〜。
折角だから、今日は一緒に外で食べようって事にしたの。竜ちゃんも帰ってきたばっかりで疲れてるでしょ?
でさ〜。お仕事終わるまで竜ちゃん待っててくれたんだけど、終わってお店の外に出たら、なんか竜ちゃん真っ白になってて〜、今もおウチで白いまんま。
竜〜ちゃ〜ん。やっちゃんは心配でやんすよ〜。早く元の竜ちゃんに戻って欲しいでがんす。


香椎奈々子の日記より抜粋。
3月29日。
……もうどうしたら良いのか分からない。
お父さんはどこかに出掛けたみたい。夜も遅いのに変なお父さん。
でもきっと私も今日は変だと思う。
麻耶の事があって、北村君の思いとかあって、私は結構疲れてたんだと思う。
気が付いたら私の荷物を高須君が持ってて、一緒に私の家のほうに歩いてた。なんかずっとうわの空だったみたい。流石に心配するわよね。ごめん。
「良いけどよ」彼はそれしか言わない。いつも、良いとしか言わない。
私には分からなくなった。
麻耶は自分の想いが分からない。北村君の先には恋ヶ窪先生が居る。
高須君は私がいいと言ってくれるけど、私はそれに応えては居ない。今もこうして何も言わず寄り添ってくれてる彼に、何も。
麻耶の頭を撫でる彼を見たくなかった。
目を細める麻耶に微笑ましい気持ちになった。
そんな空気を柔らかいものに変える事の出来る北村君を不思議に思った。
どこか、私の居場所が無い様に、思えた。
でも聞きたかった。
昨日と今日、楽しかったかどうか。呆れたように息を付いた高須君は、麻耶の時みたく私を撫でた。
「なんかよく分かんねぇけど、楽しかったに決まってんじゃねぇか。木原に何あったか知んねぇけど、お前少し考え過ぎだ」って笑ってた。
なんか、嬉しかった。独りで考え込んでたけど、独りじゃ無いって思った。この人が、こうして最後に汲み取ってくれるから。
私はきっと、高須君が好きだ。だからじゃあねって……キスをして別れた。
物足りないかな?高須君。でもゴメンね、今の私はコレで精一杯。
いいよね?ゆっくりでも。ね?高須君。


高須竜児の日記より抜粋。
3月29日。
俺は一体何をどうすればいいんだ?
今日、別れ際に香椎さんにキスされた。香椎さん、意味わかんねぇよ?てか、一体なにがどうなってんだ??
北村が櫛枝さんを好きだった事で、もう俺の脳内会議は審議延長の憂き目に有ってると言うのに、この上更に議題を増やすのか?
譲る気は無い。無いが、百や千や1億歩譲って、狩野先輩と木原の例のアレは正に礼のアレだったと受け止めよう。
本人達も礼だと言っていたし、該当する理由が他に見当たらない。だが香椎さん。君のコレは礼では有るまい。
待て待て待て。なんかもの凄く都合の良い発想が頭をもたげているぞ?
コレはそのつまり……好き?なのか?香椎さんが?俺を?
まさか!だって理由が思い当たらない。そう思い当たらないんだ。
泰子との飯も俺はよく覚えていない。何をどうなったか……そして今気が付いた。遅いな、俺は。
答えは既に有った!!
思い当たらないという事はソレが無いと言う事。では他の線は?有るじゃないか、有ったじゃねぇか!
確かに北村は言ったんだ、もう違う恋の相手がそれとなく居ると。凄くて高嶺の花だし俺の香椎じゃまだ無いが、と。
だがコレは参ったな。確かに全ての謎は解けた。解けたが、コレはどう動けば良いんだ?
北村の言葉には未練は無い、が、未だに櫛枝さんに憧れていると言う。相手は櫛枝さんだ無理も無い。だとすれば当然香椎さんは面白く無い。分かるぞ、乙女心だ。
そこで隣に居た、北村の親友の男に……アテ逃げか!!いや、アテツケか。
おいおいおい。なんだよ、俺には無縁の恋愛模様って奴がとうとう来たのかおい!
落ち着け炊かす粒耳……高須竜児。コレは下手に動けば二人の友人を傷付ける事になる重要なポストだ。考えろ、俺は一体、どうすれば良いんだ?


恋ヶ窪ゆりの日記より抜粋。
3月29日
とんでもない事を思い出した…ってかなんで忘れるの私!
今日アフターも無くて帰ろうとしてたら彼を見た…竜よ竜!
私は馬鹿?頭悪い子ちゃんなの?
指名争ってボトル飲み干して同伴しながらメール打ってる場合じゃないのよ!!
危なく当初の目的を逸脱するトコだったわ。ちょっとしてたけどぉぉってソレは良いのよ!
竜ったらあの魅羅乃と一緒に歩いてたのよ!でもその顔はもう死んだも同然。あの女だけが楽しそうに笑ってるだけ。
ふっふっふ。やっぱり私のにらんだ通りね。
今、竜の中に居るのは私なのよ!ふっ。もうココまでね。
明日お店を飛ぼう。
そして……貴方を探すわ、竜。
待たせてゴメンね?


川嶋安奈の日記より抜粋。
3月30日。
ようやく折れたわね。ま、予想通りね。
亜美が大事な話が有ると言って来た時は思わず笑みがこぼれたわね。
話はあした聞く事にしたから良しとして、そうね。向こうに行っても彼には少し働いて貰いましょう。刺激は必要だものね?
ふふふ。待たせたわね高須竜児君。
貴方の事だから精々面白い事してるんでしょうけどね?駄目よ、独り占めは。
これからもっと楽しくなるわよ?ふふふ。
あ〜あ。どうせなら私も通えないかしらね?大橋高校に。
いいわ、今はコレで、楽しむ事にしましょう。ね?高須君。