竹宮ゆゆこ総合スレ SS補間庫
   

 

日記。徒然に。。。5

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高須竜児の日記より抜粋。
2月16日。
今日、ようやく退院出来た。しかし俺は乗り越えたよ櫛枝さん。
だが、ありがとうとは言えなかった。匿名で俺にくれた以上彼女も俺からのお礼の言葉は照れくさいだろう。
いいさ。待っててくれよ櫛枝さん。ホワイトデーには取って置きのサプライズをお届けだぜ!

2月19日。
最近、香椎さんの様子がおかしい。どこかいつもうわの空だと思う。
確かに香椎さんの料理の腕前は疑うまでも無いとは思うのだが、そう毎日毎日ホットケーキを買うのは何故だろう?
何か凄いレパートリーを持っているに違いない。さすが香椎さんだ。
でもなんか良いな、こう云うのは。やっぱり誰かと一緒に買い物をしてると新しいメニューへの可能性とか、個人個人のスーパーの情報などが手に入る。俺には他にそんな人は居ないからな。
香椎さんとは共に家計を預かる同志だからな。出来れば早く元気になって貰いたいものだ。ま、俺がソレを言ったところで、彼女が元気になった訳でもない。使えないな、俺は。
う〜ん。それにしても今日はまた大量に買ってたな、ホットケーキ。今度レシピを聞いてみよう。


川嶋安奈の日記より抜粋。
2月20日。
どうも思ったより根性の無いストーカーの様ね。満足に亜美の居場所も特定出来てない。これじゃあちょっと熱心なファン程度じゃない。
亜美程度にまかれる様では役に立たない。
仕方ないわね。少し手助けしてあげましょ。明日には亜美の細かいスケジュールやルートが届くから、何気に彼に流してあげましょう。
亜美。コレは貴女の為なのよ?決して私が楽しいからじゃ無いわよ。
多分ね?


香椎奈々子の日記より抜粋。
2月22日。
はぁ。このままでは駄目よね。うん。
やっぱり私はどこか逃げてるんだと思う。高須君は変わらない。きっと前から、変わってない。
麻耶が居て、北村君が居て、高須君が居て、私が居る。
もう、ごまかしてはいられない…「香椎さんと供に家庭を…」彼の想いに、私はもう真剣に答えを出す時期に来てるんだと思う。
2人への気持ちに揺れる麻耶。自分の気持ちに揺れる私。
やっぱり貴女は親友ね、麻耶。どこか似てる。二人共どこかはっきりしない……うん!でも良い!
それでも想ってくれる人が居るなら、私は私らしく行こう。
きっと彼は、人よりゆっくりな私を微笑って待っててくれると思うから。
そうよね?高須君。


恋ヶ窪ゆりの日記より抜粋。
2月24日。
あれから街を徘徊して、とうとうパンチを見つけた。
スナック毘沙門天国の黒服だった。たしか藤原さん?ま、どうでも良いのよ!そんな事は!!
もちろんこの前のお礼もしたかったしさ、もうやっと見つけたからテンションも上がっちゃったわよ。
だけどどうしよう。とんでもない事になった。折角手掛かりを見つけたのに、彼の居場所を聞いた30秒後に世界は終わった。

「こないだの??…あぁ!竜ちゃんか。?今何処に居るかって?さぁ、流石にこの時間に何処に居るかは知らないけどね」

そりゃ私だってそんな簡単に見つかるなんて思って無いわよぉ。彼だって逃亡者な訳だし。でもまさか

「まぁ魅羅乃ちゃんに聞けば分かるんじゃないかな?聞いてこよか?……??いや、そりゃだって一緒に住んでるんだから居場所くらいは…あれ?ねぇお嬢さんどうし」

藤原さんが何か言ってたけどもう聞く必要は無いわね。
竜……貴方がフタマタ掛けてたなんて。
そりゃあ私だって良い年の女ですもの。今まで色々有りましたよ?フタマタの2度や3度は掛けられた事も有りますとも!
だけど今度こそは、と信じていたのに!!
でも待って!ソレはつまり私の方が後って事よね?という事は………奪う?
いやいやいや。所詮フタマタ掛けるような男なんてその程度でしか…でも魅羅乃〜なんて如何にもお色気ムンムンちゃんです〜なんてお頭の悪そうな女に騙されてるだけかも。
そんなお色気真っ向勝負な20そこそこの小娘相手に三十路手前の私なんかが張り合ったってにっちもさっちも行かないのかも知れないけどさ〜。
大体大人しく引き下がって大和撫子の私待〜つ〜わ、なんて言ったって、その頃日本は少子高齢化社会で有望株なんてじゃかじゃか刈り取られちゃって、残ってるのは光合成中の爺さんしか居ないじゃない?
てか頼子だってクリスマスは一緒に過ごしたのにバレンタインは急に用事が〜なんてどんな用事よ!法事?掃除?袋小路?それ私。
あれ!見えたかもぉ……ひょっとして、失楽園いくべき?


香椎奈々子(父)の日記より抜粋。
3月2日。
ふっ、ようやくホットケーキ祭りを抜けた。
何故どこぞのコンビニ並みの在庫の量になってしまったのかは分からないが、私は勝ったぞ!
奈々子よ。せめて半年間はホットケーキを封印してくれると父は嬉しい。


逢坂大河の日記より抜粋。
3月5日。
私はそれ程無理難題を吹っかけたのだろうか?掃除業者はもうウチには来ない事になった。
別に掃除くらい私にだって出来るし、キャンキャン煩いバカなら来ない方がいいわ。
一人で出来るもん。



恋ヶ窪ゆりの日記より抜粋。
3月7日。
敵を知り己を知らば百戦危うべからず!
まずは敵を知る事が必勝の秘訣!昔の人は偉いわ。
とりあえずは魅羅乃とか言う小娘をこの前こっそり見た。
確かにスタイルは良さそうだし、なんかほっとけない空気を持ってる子よね?
でも大丈夫よ!私にも勝ち目があると思う!うん。イケルわ。
だがまあソレだけでは彼女の事を理解は出来ないだろう。ふっ。私に抜かりは無いわ。
明日から隣町のスナックでアルバイトよ!教師のバイトはご法度だけど言ってられますかいってのよ!
見てなさいよ魅羅乃!貴女の客はこの、スナック独美神の魅姫が貰うわ!!
さぁて、お水の花道を観とかなきゃ。


高須竜児の日記より抜粋。
3月10日。
完璧だ。高須竜児特製のホワイトデースペシャルクッキー。その名も『ザ!Cookie』
今日まで散々思考錯誤を重ねた甲斐があった。試食したがかなりの出来だ。俺の過去ランキングも含めて1・2を争うだろう。
後は13日に作り、14日コレを櫛枝さんに渡せば。
だがココで問題だ。どうやって渡す?無論直接渡せればそれに越した事は無いのだが、ソレは不可能だ。
何度か「おはよう」と声を掛けてみようと思ったが、金縛りにあうかの様に体が動かなくなる。
やっと言えた言葉は「おまぁにょぉ」だ。以降数時間の記憶が無い。
今の俺に櫛枝さんに面と向かって渡す事は自殺行為に等しい。きっと櫛枝さんもそうだったに違いない。だから差出人不明で下駄箱に。
だが俺は男だ。ココはやはり、不甲斐ないまでも根性位は見せねばなるまい。
そうか!下駄箱に入れておいても俺からだと分かるようにクッキーにメッセージカードを書いておこう!うん。それでいい!
よし!今度はその練習だ!最高のメッセージを書いてやろう。


逢坂大河の日記より抜粋。
3月11日。
そういえばホワイトデーよね。でもチョコに私の名前とか無かったし、きっと北村君も誰のか知らないもんね。
別にお返しが欲しくてあげた訳じゃないから良いんだけど。ちょっと寂しいかな。
でもいいか。来年は頑張ろう!せめてもう少し、仲良くなりたい。今はソレだけで良い。


木原麻耶の日記より抜粋。
3月12日。
今日奈々子と春休みの話で盛り上がった。休み中にどっか遠出しようって話。
もちろん賛成よ!で、奈々子が言うのは、高須君とかまるおとかもどうかな?だって。
幾らなんでも話が突飛過ぎるじゃない!まるおはともかく高須君はクラスも違うし、でも、だって、ねぇ?
でも、まるおも男子一人ってやだろうし、他の男子なんて有り得ないし。なんか最近クラスの男子、目がやらしいのよね。特に奈々子の胸とか。
奈々子も結構ムカついてるみたいだしさ、やっぱガキは嫌よね、ガキは。
高須君は……大きい方が良いのかな?まるおは??

武井とやらの日記より抜粋。
3月13日。
ふっ。いよいよホワイトデーだぜ!バレンタインはまさに血の惨劇だったが、今度はこっちが攻める番!
男子から告白出来る問答無用の免罪符だ。明日の為に買っておいた4つ星レストランの特製クッキーを…
母さん?貴方は何をタベテルノデスカ??


香椎奈々子の日記より抜粋。
3月14日。
今日は男子がソワソワしてて面白かった。でも最近男子の視線が纏わり付く。
やっぱり最近、胸が大きくなってきた。恥ずかしい訳じゃないけど、酷く不快よね。
気持ちも理解出来なくは無いけど、やっぱり私はそんな外見じゃなく、ちゃんと私を見てくれる人を好きになりたい。
高須君は……多分いやらしい目で見てないと思うけど、分かんないか、そんなの。
でもだとしたら私はどうするんだろう。許せない?それとも……許すのだろうか。
今夜は彼の事を考えるのは止そう。なにか、イケナイことを思ってしまいそうだから


逢坂大河の日記より抜粋。
3月14日。
信じられない!!私の下駄箱にクッキーが入ってた!
どうせどっかの馬鹿からの貢物だと思ってたら………バレンタインのお返しに。だって!信じられない!!
北村君、どうしてあのチョコが私って分かったの?でもでもコレって夢じゃないよね?……!痛い!夢じゃない!!
食べてみたらもうすっっっっっごく美味しいの!!目っっっっっ茶苦茶美味しいの!!
なんか思い切り手作りで、そんで綺麗にラッピングしてあって。大事に大事に作られてて……涙がでた。嬉しかった。
ケーキにはさ、メッセージカードが入っててさ

「今はまだコレが精一杯。でもまだまだ俺達はこれからだ!だから、これからもヨロシク!2年になって、一緒のクラスになれると良いな」だって。

私もだよ北村君。北村君と一緒のクラスになりたい。裏にもなんか書いてあった。

「困った事が有ったらいつでも電話しろ。高須竜児 ○○○-○○○○-○○○○」

なんでだろう??どうせなら北村君の番号が良いのに……!そうか!たしかコイツって私んちの隣に住んでる目付きの悪い奴でしょ?それで確か北村君の友達。結構一緒に居るの見かけるし。
分かったわ北村君!まずは友達から始めようって事ね!そうよね、よくテレビや雑誌でも聞くし!ッて事はこれは前進!輝かしい一歩なのね!
でも、良かった。勇気を出してバレンタインチョコ作って…本当に良かった。


川嶋亜美の日記より抜粋。
3月15日。
なによこのクッキー。有り得ない。なんでアイツが私の家知ってんの?有り得ないから!
この時の服装は止めた方が良いって、なによコレ!
なんか最近コイツ凄く無い?行くトコ行くトコ現れて、何で私の行動とか把握してんのよ。
盗聴器?盗撮?嘘でしょ?なんなのよコイツ!


北村祐作の日記より抜粋。
3月14日。
やれやれな出費だったな。まぁ大した額ではないが、それでもまぁ喜んで貰えれば何よりだ。
木原にもあげたし、女子ソフトにもお返ししたしな。
あとは…結局手元に残ったのはこいつだけか。
会長には、渡せなかったな…まぁいいさ。まだ2年ある!
今日はこのクッキーの味を噛み締めて、来年への糧とする事にした。


木原麻耶の日記より抜粋。
3月14日。
どうしよう…今夜はもう眠れそうにない。
高須君に…キス……しちゃったんだよね?私。
あぁ!もう!明日からどんな顔して会えば良いのよ!!私の馬鹿馬鹿!!
でもさ?やっぱりこんなに素敵な手編みのマフラーなんて貰ったんだしさ、そう!軽いお礼よ!お礼。
その、ファーストキス、だけど……ほんのおれい、で、良いと思う。
チョッと夜に買い物に出掛けたら凄い息切らせた彼が居てさ、ビックリしたけどなんか会えて嬉しかった。
なんかお母さんのトコに行く途中だって。
そしたら手にマフラー持ってるじゃない?どうしたの?って聞いたら寒いから持ってきたけど、ホントは自分の為の物じゃないからって。
「ホントはもっと前にって思ってたんだけどな、中々編むのに時間掛かっちまって、もう来年にって思ってたんだ」って。
なんかもの凄く長いから驚いたけど「なんか喜んでくれるかな?って考えてたらついこの長さになっちまってさ。やっぱ変だよな?すぐに直し」
変な事なんて無いよ?高須君。だってあんなに温かかったし、部屋にこうして飾ってみてもコレを編んでくれた時の高須君が目に浮かぶもん。
M・K……かぁ。
ねぇ高須君。あなたは木原麻耶をどうしたいの?どう……したいのかな


櫛枝実乃梨の日記より抜粋。
3月14日。
いやぁ今日は大量だったぜぃ。
チロル祭りの収穫祭だねぇ。結構結構。
でもみんな良い奴だよね。キチンとお返ししてくれるしさ。まぁくれなかった人も多いけど所詮チロルだしね。
てか、くれた人がビックリだよ。


香椎奈々子(父)の日記より抜粋。
3月14日。
………奈々子。父さんの机の上に温泉旅行のパンフレットが置いてあるが、なんで4名料金に印が付いてるんだ?
「3倍返しだから」とあるが、きのこの山の値段を父さんは知りたい。コアラのマーチとどっちが高いんだ?
富士の樹海も気持ち良さそうだな、奈々子よ。


恋ヶ窪ゆりの日記より抜粋。
3月14日。
ふぅ。今日も大変だったわね〜。ったくあのエロ親父す〜ぐアフターアフターって、寝言はピンドン入れてから言ってよね!
あぁもう。明日は折角オフだったのに雅ちゃん同伴だっていうしさ、ま、仕方ないか。
工藤さん来てくれないかなぁ?あと指名2本位あると来週楽なんだけどな〜。
あっ、メール来た。おし!週末来る君は偉いぞ川崎君!魅姫ちゃん超嬉しい〜〜〜。


狩野すみれの日記より抜粋。
3月14日。
まったく、やってくれるじゃないか?高須。
まさかココまでとはな。自分の部屋でマフラーを付けているとは、いよいよ私もヤキが回ったか。でも何故だろうな?悪くない気分だ。
今日、店でアイツを見かけたらどうしても受け取って欲しいものが有ると言う。まぁ察しは付くが、どうにもアイツには周囲の目を気にする風が無い。
店内でそれは無いだろう。だから店が終わった頃に出直して来いと言ってやった。ま、そうしたら会ってやるとな。
よくもまぁ律儀に来たもんだ。
まぁいきなり本題に入るのも何だからな。
一応、その、私達は友人とか知り合いとかと言うのからは、一歩とか少なくとも半歩位は進んだ仲な訳だし。少しは話をしたさ。最近どうだ?とか、まぁ世間話程度だ。
まだ割りと肌寒いしな、くしゃみをしたのが切欠なのか。くそ、みすみす機会を与えてやるとは私も甘いな。
アイツは自分が巻いてたマフラーを私に巻きだしたが……近いんだよアイツは!
私はそんなに弱くは無いんだ、でも「弱いも強いも無いですよ。こうした方が良いに決まってます。それだけです」
暖かかったな。聞けば手編みと言う。
まったくアイツは、もう少し器用に生きれないのかな。不器用に過ぎる。そんなんでは生き難いだろうに。お前みたいな奴は。
ただ受け取って欲しい。それだけの事が言えない。ほんと呆れるしかないな。だから受け取ってやっただけだ。
ま、私も貰うばかりではなんだからな……その……やはりあれは、うん。お礼だな。うん。
一応言っとくが、ファーストキスだからな?コレは。
まぁ奴も「偶然ですね。俺もですよ」と言ってたな。ふふ。ホント、偶然だな、高須。
マフラーのお礼だと言ったのは照れ隠しでも有るけど、今日のところはそうしておいてくれ。
コレでも17才の乙女なんだぞ?高須。お前がそれで納得してくれないと、色々と困った事になるのさ。お互いにな?
ほんと……やってくれるじゃないか……ねぇ?竜児


高須泰子の日記より抜粋。
3月14日。
え〜〜ん。竜ちゃんがやっちゃんの事見捨てるの〜。
今日はお客さんからた〜くさんお菓子貰っちゃって〜。やっちゃん一人で持って帰れないから竜ちゃんも手伝ってってメールしたの。そしてら竜ちゃん「分かった。すぐ行く」
でも来ない〜〜〜〜。竜ちゃ〜〜〜ん。
やっちゃんがタクシーで一生懸命帰ってきたら、竜ちゃんってばお部屋でボ〜って停まってた。
どうしたの?竜ちゃん


高須竜児の日記より抜粋。
3月14日。
何故?WHY?俺は一体何をどう間違ったんだ?
あぁ。駄目だ、落ち着こう。そうだ素数を数えよう。2・3・5・7・8・11…?8??いや、こんな馬鹿をやってる場合じゃない。
そもそも何故俺は狩野先輩と木原とキスしたのだ!いや、厳密にはされたのだ!これは名誉の為に言う!信じてくれ櫛枝さん!!
第一、俺はバレンタインのお返しに高須特製の『ザ!Cookie』を櫛枝さんの下駄箱に入れたじゃないか。
明日には、いや、もしかしたら今夜にでも俺の携帯が彼女からの着信を告げるかも知れんのだ。徹夜で待つ準備は既に出来て居る。
しかしソレも協力してくれた彼のおかげか。たしか…春田って言ったっけ?確かに俺も馬鹿だったな。よく考えたら俺は櫛枝さんの下駄箱を知らなかった。
あの時、櫛枝さんと同じクラスの春田君に会わなければ今頃自分で自分のクッキーを自画自賛しているところだ。
「あ〜。櫛枝の下駄箱ならココだよ〜〜」って教えてくれた場所に入れておいた。ありがとう春田君。君には感謝の言葉も無い。
しかし櫛枝さんは意外に足が小さいんだな。あぁ、なんて可愛い。
いや、それは良い。櫛枝さんが可愛いのは天地開闢以来決まっている事だ。
分からんのは狩野先輩だ。たまたまスーパーに行ったら先輩が居たからな。もういい加減受け取って貰おうと思った。100円。
だがなんと店が終わったらで良ければと言うではないか!完全に駄目元だったのに。これもやはり櫛枝パワーか?善行は積むに限ると言う事だ。
夜に会いに行ったら何となく世間話を始めるからな。まぁ俺も特に急ぎでも無いが、先輩の格好はどう見ても寒そうだ。まだ3月。夜は冷えるというのに。言わんこっちゃ無い。早々にくしゃみをした。
俺はジャンパーもあるから、先輩にマフラーを巻いてあげた。要らないとか言いそうだからな。渡しても無理だろうから俺が巻いた。
「温かいな」って言ってくれたからな。手編みだし。一応高い毛糸を使ってみたんだよな。だいたいさ。
「ホントは正月があけたら直ぐに受け取って欲しかったんですけどね。まったく、頑固ですよね、先輩は」
たった100円なのにな。そう思ったらなんか可笑しかったな。
でもおかしいだろ!そこでなんで「だったらコレは……礼だ」っていきなりキスしてくるんだよ!無いだろ?欧米かよ!って古い!!
ファーストキス…もう頭の中真っ白で帰ったね。
そしたら泰子が店まで来いって言いやがるし。行くのは良いんだが、結局俺のマフラー持ってかれちまったし、残ってるって言ったら……去年に櫛枝さんにプレゼントしようと編んだマフラーしかない。
なんか長くなり過ぎちまったし、櫛枝さんのイニシャルなんか入れたから使うに使えなかったんだけどさ、まぁ寒さには変えられない。
いよいよになったら使おうと持っていったら、木原に会った。
俺もちょっと走りすぎて疲れてたし、木原と話してたらマフラーの話になって。ちょっと馬鹿にされるかと思ったけどアイツは馬鹿になんかしなかった。
嬉しかったよ、木原。そうだよな、お前は人の失敗を笑う奴じゃないよな。そしたらアイツが「見て」って、マフラーを取り上げて自分に巻いた。
でもやっぱり、すごく余っちまうじゃねぇか。って言ったら「丁度良いよ。こう、出来るから」って、俺の首にも巻きだした。
不味い。1本のマフラーに2人でって、恥ずかしいだろって言っても「ううん。恥ずかしくなんか無い。ただ、嬉しい……だからコレは……お礼」
なんでだ?マフラーで俺を引き寄せキスをして、木原は俺からマフラーを奪って走り去っていった……やるって言ったか?俺。
駄目だ。もう俺の脳では理解不能だ。今日はもう…おわりだ。

3月15日。
朝、櫛枝さんにばったり会った。おお!やはりこうゆうイベントもあったのか神様。グッジョブだ!と思ったんだが
「おひゃひょう」……いや、俺にしてはかなりの出来だったぞ?だが櫛枝さんは普通に「おはよう」って言って歩いていった。
いや、あれ?なんかリアクションが…だがその前の記憶を思い起こして俺は愕然としたね。
ついでに書くと、その時丁度、春田君が俺の前を通りかかったんでちょっと伺ってみたのさ
「おい。櫛枝実乃梨の下駄箱は何処だ?」
「ん〜?櫛枝の下駄箱は確かココだよ〜」
OKOK。この後教師に連行されようが公的機関に通報されようが、コイツはココで処理するべきだろう。
春田君とやらが指差したのは櫛枝さんの下駄箱じゃねぇ。あまつさえ、昨日の場所でもねぇ。
現在11:15。
先生に帰れと言われた。せめて1発位は殴らせろーーー!!