竹宮ゆゆこ総合スレ SS補間庫
   

 

伝えたい言葉(2)

マットに二人して腰掛けて私は語りかける。
「高須君は好きな娘居るって言ったじゃん。それってさ実乃梨ちゃん?」
そう言うと、高須君の目元が微かに細くなり、無言のまま私から目を反らす。
私の問いの真意が分からないから、言いたくない。そんな雰囲気だ。
それを聞いてどうするんだよ?」
しばしの沈黙の後、彼が絞り出す様に呟く。
「ん理由を聞きたい?そうしたら教えてくれるの?」
問いに問いで返し、続けて問う。
正直、立場が逆ならウザくて仕方無いだろう。
別に意地悪とか、からかってやろうと思って言っている訳では無い。
「言わないと駄目なのかよ、誰にも言いたくない事だってあるじゃねぇか」
……大河には言えて、亜美ちゃんには言えない訳だ。ふぅん」
と、カマを掛けてみたりする。
絡まった糸は解くより、切って繋いだ方が楽だよね。
「別にそんなのじゃねぇ。訳を教えてくれよ。じゃないと言えない」
予想通りの答を聞いて、私は高須君の顔を下から覗き込んで見詰める。
あくまでも真剣な目差しで
………高須君の事が好きだから……じゃ理由にならないかなぁ?」


そう。真剣に、自然に
目を見開いた高須君から視線を逸らさず、私は続ける。
「もちろん、男の子としてね。だから気になるじゃん。
その相手が私じゃない事位分かるし、おおよその見当は付いてるけど知りたいな」
一息で言葉を紡いで、私は上目遣いで彼を見ながら、返事を待つ。
櫛枝だよ」
しばらく考えた素振りを見せて、彼が紡いだ一言。
分かりきっていた事なのに、本人の口から言われると切ない。
恐らく、素直に言えば私が満足するとか諦めるとか思って言ったのかも知れない。
彼らしくない、割り切った考え。
ひとまず牽制と言った所だろう。
何とかして、この状況から早く抜け出したいという事なのか?
「だから川嶋と付き合う訳にはいかねぇ。ゴメン」
高須君が申し訳なさそうに私に謝る。
何で謝るの?別にそう言わせたい訳じゃない。亜美ちゃん嫌な女みたいじゃん。
変な作為が有って聞いたわけでは無いのだ。
しいて言うなら『確認』の為だ。
糸を繋ぐ為のね。
良い人を辞めて、自分が求める者を手にする。
それに必要な情報が欲しかったのだ。
予想では無く、明確な事実が無いと糸は紡げない。


もちろん、それは私なりのやり方でやらせてもらう。
側だけ取り繕った人間だった私の仮面を取り除いて、新しい道を高須君は開いてくれた。
好きになってしまった。
今は好きな人に振り向いて貰おうと、必死で尻尾を振ってキャンキャン啼くチワワ。

私は、大河みたいに彼が守ってやりたいと思わせる存在にはなれない。
実乃梨ちゃんみたいに彼の太陽にもなれない。
なら、私は高須君と対等に並び立つ存在になりたい。
いつだったかああ、ストーカーの件の後に同じ事を言ったよね。
「そっか。うん。ゴメンね、何だか今日は変な事ばかり言ってる」
私は顔を俯かせて深呼吸した後、彼に聞いてみる。
「付き合ってとかは言わない。
でもそれでも高須君の事、好きでいて良い?」
「おうっ、それは俺が決める事じゃないと思うぞ」
そりゃあ、そうだよね。
他人がどう想おうが勝手っていいたいんだろう。
「でも報われないかもしれないのに、想われているのは心苦しいし、川嶋だっていつか後悔するんじゃないのか?」
つまりは
『勘弁してくれ』
って事だ。
彼がそう思ってなくても、言い方を変えたらそうなる。
穿った見方かもしれない、けど事実。


「私じゃ嫌?」
「嫌とかじゃない。川嶋は綺麗だし、一緒にいて面白いけど俺なんかじゃ釣り合わない。
それに俺は櫛枝の事が本気で……
嫌じゃないか。
好きでも無いし、嫌いでも無い。
ちょっと仲の良い女友達って感じなのかな?
ちなみに私は男女で友人関係は成立しないと思っている。
一緒に居て、惹かれ合ってそれでも『トモダチ』のままだなんて不可能だと。
男のXYの染色体と、女のX染色体は互いを求め合う様に出来ているのだ。
本能だよ。上手く出来ているよね?
人間だって動物なのだから当たり前、雄は雌を求める。逆も然り。私は高須君に惹かれ、高須君は実乃梨ちゃんに惹かれた。
だから相手と『トモダチ』以上の仲になりたいと願う。
私の現状は片想い。掴もうとしても、高須君は先に進んで並び立てない。
だが唯一、同性の友人関係と同じ様に対等に、かつ瞬時に並び立つ方法があるのだ。
私は高須君の唇に人差し指をあてがって制する。
「全部言わなくても良いよ。高須君は優しいもん。絶対に他人を傷付けれない奴だって知ってる」
そう。だからこそ私が今から言う事は『いけない事』だと諭されるよ絶対に


それが何かって?
それはね高須君に抱いて貰う事。
私が高須君と対等になるには、男女の関係になるしかない。
極論かな?でも真理だよ。
理性とか倫理は抜きにしてね。
理由は前述の通り。私達は『生き物』だからそれで察して欲しい。
「高須君一度しか言わない。すっごい我儘だし、
間違った事だけど、お願いがあるんだ。聞くだけ聞いて貰えないかな?」
彼の手を握って、私はゆっくり一言一句を噛み締める様に紡ぐ。
「私を………
抱 い て よ

「は、はぁ?」
呆気に取られた風に見える彼の手を更に強く握る。
「お、お前何言ってえ?その抱くって意味解ってんのかよ?」
しどろもどろになりながら高須君が私に聞き返す。
私は軽く頷いて肯定とする。
「そんなの無理に決まってるじゃねぇか!付き合っても無いし、川嶋は絶対に後悔する。
本当に好きな奴が出来た時に過ちだったって気付く。その時には遅いんだ!」
彼が静かな怒りと哀しみを湛えた瞳で私を諭す。
「後悔なんてしないよ!私は私は……冗談とかで言ってるんじゃない。
だって高須君の事が好きだから抱かれたいの」


「っ!もっと自分の事を大切にしろよ、一度しか無いんだぞ?
それに俺には重すぎる。
川嶋が好きだって言ってくれても、自分の事で精一杯なんだ
櫛枝しか考えれない。
だから撤回してくれ。今なら聞かなかった事にするから」
「嘘だ。自分一人で精一杯だなんて嘘だよ。じゃあ何で大河にはベッタリなのよ?
自分の事だけでいっぱいいっぱいなら、他人の面倒なんて見れる訳無いじゃん。
今、言ったのは建前?私は蚊帳の外なわけ?」
自分でも何を言っているのか分からない。
まるで彼の心が読めるとばかりにまくし立ててさ。
てかこれじゃ逆ギレだよ
私は大河にも実乃梨ちゃんにも嫉いている。
同じ教室に居て、壊れ物を扱う様に優しく接して貰って私は放置。
そしてたまに気紛れで優しく接する。
いや、本当は彼が私にも誰にだって優しく接しているって理解している。
でも比較しちゃう。
『アイツにはあんな風にして、私にはこれだけ?』
些細な違い、それを目敏く見付けて一喜一憂していたのだ。今だってそう。
「大河は関係無いだろ?ともかく無理だ。悪いけど、出来ない。
川嶋にもいつか好きな奴が出来る。そいつに悪いし」



例えば
『実乃梨ちゃんが好きだって言いながら、大河には甘々な保護者面して、私に対しては少し冷たい』
って心にも無い事を考えている。
高須君の言っている事は正論
確かにこの先、好きな人が別に出来たとして少し位は、軽率だったって思うかもしれない。
けど、それでも後悔はしない。
絶対に
私はチワワの目で上目遣いに見ながら懇願するの
高須君の事、諦めれないもん。本当に大好きで焦がれて
好きな人に抱かれた事、それを悔やんだりしない。
それは、もし実らない恋だったとしても私の中で輝いて色褪せない。
「私にだって恋をする権利はある。高須君にも実乃梨ちゃんにだって皆にあるんだよ?
それを間違いだなんて言わないでお願い、高須君私と寝てよ」
そう言って私は待つ。彼の返事を
飾らない本心、大人ぶっているけど、私だって皆と同じだもん。
火遊びで大怪我じゃなく、どうせなら全力でぶつかって大怪我したい。
少しづつ、深めていって仲良くなれたら
『大怪我して良かった』
って思えるじゃん。
今日、明日短期間なら大怪我に見えても、長い目で見れば良い結果になるかもしれない。


そう。すぐに結果が見えるものじゃないんだから
……絶対に後悔しないんだな?」
長い沈黙を破って、口を開いた高須君が私に問い掛ける。
「うん。しない」
私は微笑みながら返す。
互いの顔を見詰めながら、触れた手を握り合う。
「気持ちが通うかは分からない。でも優しくはするから」
まだ手が触れただけじゃん。
でも高須君らしいなぁ。
その言葉はもう少し後で欲しいな。
とか、ちょっとだけ心の中で惚けてみる。
そこの跳箱の裏。入口からは死角だし、良い感じの隙間だよね。
そこで……ねっ?」
熱を帯びた頬を隠す為に俯いて、繋いだ手をしっかり握り、空いている片手の人差し指で室内の端を指差す。
「お、おうっ!ここでするのかよ。てっきり別の場所かと」
「うん。"ここで"だよ」
理由を述べるなら
『心変わり防止』
である。
ほら何だかんだ今の状況ってさ。
場の空気に流されている感も少なからず有るよね?
もちろん私じゃなく、高須君がね。
『川嶋がここまで言うなら良いよな?』
みたいな感じ。
だから、ここで機会を逃すと思い直しちゃう。


『ああ、やっぱり無理だ』
って考えてしまうだろう。
それのポカ除け。
「川嶋は良いのかよ?ここ結構埃があるんだぞ。ほら、そこの端とか隅とか
おおうっ何という惨劇」
高須君がビシッと数ヵ所を順に指差しながら、口元を歪ませて邪悪な笑みを浮かべる。
『川嶋ぁ、お前の初体験を埃たっぷりでムード無しの場所で台無しにしてやるぜ』
とか考えているのでは無い。
十中八九、頭の中で高須棒を振るって埃と戦っているのだろう。
「はいはい。惨劇、惨劇っと。こうしたら運命は覆せるよ」
私は自分のジャージの上を脱いで立ち上がる。
そして、先ほど指差した場所に屈んでジャージを広げて置く。
いやぁ亜美ちゃんって天才?
「ほら、高須君も来てよ」
笑顔で手招きすると高須君が私の横に並ぶ。
「まあ、うん、確かにそうなんだけど根本的な解決にはなってないような」
不本意そうな彼の頬を、両手で撫でながら私はからかってみる。
「あ、そっかぁ高須君はマットの上でしたかったんだ
入口から丸見えだもんねぇ、亜美ちゃんと繋がってる所を誰かに見せたかったとか。
やだぁそんな趣味あったの?」


わざと会話のキャッチボールを止めて、クスクスと笑いながらね。
しかも私から誘ったのに、高須君が望んでいる様な口調で
「いきなり斜め上に考えたな。それは勘違いだ。そうじゃなくて、埃がだな
「野暮な事は言っちゃダァメんっ」
私は彼の後頭部に手を回して体重を掛けて抱き付く。
「おうっ!」
尻餅を付いた彼の肩に顎を乗せて甘えた声で囁いてみる。
「優しくしてね。忘れる事なんて出来ない位に高須君の事をしっかり私に刻んで……
もちろん私も高須君に刻んであげる。
『川嶋亜美の味』

男の子は初体験の味を忘れないって聞いた事がある。
だから忘れる事の出来ない味を覚えさせてあげるね?
大河や実乃梨ちゃん他の娘とした時に
『川嶋の方が良かったな
って思わせる位の『雌の味』をね。
胡座をかいた彼の膝の上に座って、背中を胸に預ける。

そして両手を彼の手に添えて胸元に誘導してあげるの
「んっ。ん、う
私の胸を手の平に納めた彼が、恐る恐る探る様な手付きで揉み始めた。
インナーのTシャツの上からゆっくりゆっくり
互いに一言も発せず、私の抑えた声と衣擦れの音だけ。


「川嶋って良い匂いだな
私の首筋に顔を埋めた高須君が、感慨深そうに呟く。
「ふふっ高い香水使ってるからね、んっは」
「違うぞ、香水じゃなくて、川嶋がだよ。すっげぇ甘い
高須君が鼻っ面をグリグリと首筋に押し当てつつ、十指を胸に埋める。
恋人にする様に紡ぐ言葉と、興味津々に私を探る手付き
それだけで私の身体は熱を帯び始める。
「ふっ、んっ。あ、ん」
寄せて、上げて、優しく優しく、まるで硬直した筋肉をほぐす様に揉まれる。
自分で揉むのと違い、ちょっとくすぐったい。
でも身体がねピクンってしちゃう。
まだ直接触られてもいないのに、気持ち良いの怖い。
「なぁ良いよな?」
そんな私の変化を本能で感じ取ったのか、彼がTシャツの端を掴んで聞いてくる。
つまりは直接触りたいのだろう。
私は頷いて微かに身体を震わせる。
演技なんかじゃない
期待と怖れだよ。
「はっ、んんっ!くすぐったい
Tシャツの端から忍び込み、腹から胸の方に滑る手の感触、
少しづつ下着を押し上げてくる指先それらの感覚に私は身体を捩らせる。
「っあ、ふっ!んぅ


下着が外れ、大きな手の中で胸が揉まれる。
初めての異性の愛撫は、くすぐったくて、ちょっと痛くて気持ち良くて、甘く疼く。
「ふあっあ。あっんっんっう」
指先から零れ落ちそうになる胸を掬う様に絶え間なく揉まれて、私は啼く
心臓がバクバクと回転数を上げて、レッドゾーンを差す。
『高須君に揉まれてるスケベな手付きで揉まれてるよう
「ひうっ、あふっ!」
高まる興奮が、身体に変化をもたらす。
その変化を見つけた高須君がね親指の腹で転がす。
硬くなり始めた乳首をクリクリって切なくさせるの。
「んっ!はあっ!」
ゾクゾクとした震えを伴って、ピリピリと痺れる甘い刺激。
目の前が蕩けてしまう気持ち良さが私の身体を駆ける。
「初めてだから勝手が分からないけど気持ち良いか?」
「はっん。わ、わかんなぁっい。はうっ!」
耳元で問い掛ける高須君に、蕩けた声で返事をすると今度は更に強い刺激が走る。
ビクン!って身体が跳ねてしまう。
乳首を摘まれたのだ。
「あもしかして痛かったか?」
「ううん大丈夫、んあ
そう返すと、また摘まれる。


人差し指と親指で転がされながらね。
これ身体がフワフワしちゃう。
本当に気持ち良いんだ……癖になっちゃいそう。
じゃあ、じゃあ………『下』は、もっと気持ち良いのかなぁ?
試した事なんて無いから分かんないけど高須君がしてくれたら気持ち良いよ、多分。
それはあと少し先だろうけど期待する位は良いよね。
高須君も期待しちゃってるし。
さっきからお尻に『硬い物』が当たってるんだ
これって高須君も乗り気になって期待してくれているって事だよね?
「あっ!だめぇ、そんなに強くしたらぁ」
甘えた声で喘ぎ、彼の愛撫を甘受する。
柔らかさを味わう様に揉まれ、もっと啼けと言わんばかりに、
何回も繰り返して強弱を付けて悪戯されて堪らなくなる。
「あふぅっ!ひぁ、あっ!ふっ!」
自分でもビックリする位、甘えきって媚びた声が出てしまう。
作り物じゃない本物の啼き声が
「っふ、たかすくぅんそ、そこはっん!……やぁあぁ
高須君の右手が腹を滑っていく。
その手がジャージの上から太股を撫でる様子に、私は羞恥を覚えて思わず抑えに掛かる。


ああ、次はアソコなんだよね?
待って恥かしいよぅ高須君。
蕩け始めた思考が一瞬だけヘタレる。
やっぱりね、恥かしいじゃん。
体育の授業あったしその汗かいたから汚いよ。
そんな考えも、次の瞬間には霧散してしまった。
太股を撫でられながら乳首を強く転がされて、再び視界がピンクの霞に覆われる。
「おうやめとくか?」
彼の優しい声を聞いて、制止しようと伸ばしていた手を重ねて、おねだりしてしまう。
「はあはぁ、して。私にもっと教えて?」
高須君に可愛がって貰って下腹部が熱くなっていくトロトロに溶けていくの。
身体の奥が熱を帯びて切なくキュウ〜って疼く感覚。
私は自身のスケベな部分を自覚してしまう
大河風に言うなら発情期の雌チワワかな?
うんそうだね。
高須君に愛撫されて……気分が高揚してる
初めてなのにしかも、まだそこに触れられてもいないのに………濡れさせてしまっている。
「んうっ……あっ。あっあっ」
太股を擦る手が段々と内に伸ばされそれに比例して閉じていた足が開いていく。
私は『女の本能』に身体の自由を奪われる。


「川嶋、ここ触るぞ」
返事を待たず、胸への愛撫を続けたまま高須君が二枚の薄布の中に手を差し入れる。
一枚はジャージ、もう一枚は下着。その奥の『部分』に向かって、彼が繊細な手付きで進んで来る。
私はされるがまま。高須君に全てを託す。
したいようにして良いんだよ?
断りなんか入れなくても、これは私の望んだ事だから
だからもっと
『私を乱して』
と、彼の頬に自分の頬を擦り付ける。
これは、私の一方通行な愛情表現
口付け出来ないキミへの精一杯の求愛だから大目に見てね?


続く