竹宮ゆゆこ総合スレ SS補間庫
   

 

勝手にちわドラP 2s会話編

「らく〜じゃって…最近出来たアミューズメント施設じゃん。
もしかして、竜児行った事あるの?」

「いや、ない。チケットは貰いものだ。
能登から貰ったんだ。自分が持ってても行く相手が居ないから、とか言って。」

高須が使う事になったら、その娘の友達紹介してね…とかも言ってたが…
「ふ〜ん。能登君がねぇ〜 」

「話は変わるが、亜美の仲の良い友達って言うと…
やっぱり、木原と香椎か?良く一緒に居るし。」

「え?うん。そうかな。
あと、実乃梨ちゃんに、まあ、ここだけの話、タイガーも入れてやっても良いかな。
これ、内緒だからね?」

「………そうか。」

「でも、どうして、急にそんな事聞くの?」

「え、いや、特に意味はない。」

「ふ〜ん。変なの。」

能登には、悪いが、紹介は諦めて貰おう。…無理だ。

「ところで、亜美は行った事あるのか?ここ。」

「ん?無いよ。でも、どんなトコかは大体知ってる。
雑誌なんかで特集組まれたりしたし。
何ていうのかな、今、話題のデートスポットって奴?」

「おう。そうなのか?」

「そっかぁ、らく〜じゃのプラネタリウムかぁ〜

竜児とは、ゆっくり時間をかけて…って思ってたけど…良いよ。
お互い、知らない仲じゃないもんね。」

「おう。え?何が?」

「ん〜。竜児も、そのつもりで、覚悟しておいてね、って事。
亜美ちゃんをそこに誘うなら。」

「何だか、よく解らないけど…
じゃあ、出発するぞ。」

「おう。」

「………。そんなにしゃくれてねぇよ。」

「あははは。まあ、良いじゃない。
ほらほら、行くんでしょ?」

何か、妙にテンション高くなったな……
こいつが、こういうテンションの時って、大概、何かを隠してるんだよな…

***

なるほど。何を隠していたのかは、すぐに解った。
こういう場所だったのか。此処は。

プラネタリウムだから、当然と言えば当然なんだが…
薄暗いのは、まあ解るとして、赤っぽい照明に、何だか良く解らないお香。
何を炊いてんだろう?詳しくは解らないが、アロマ的な何かか?
加えて、低反発のふかふかシート…
つまり、そういう場所だった。

「今の竜児とあたしには、お似合いのトコじゃない?」

隣に座した亜美は、全体重をかけて寄りかかり、べったりと俺の肩にくっ付いている。
この、いかがわしい空間で、そんな事されると、
触れ合う肌の温もりとか吐息とか、そういったものが…
って、おい。目ぇ瞑るんじゃない…
気持ち良さそうだな…くそ。俺も気持ち良いよ…ちくしょう、わりぃかよ!?…悪いんだろうな。
白状するなら、さっきからずっと気になっている事がある。
気持ち良さそうな寝顔の少し下…

「ねぇ…さっきから、どこ見てるの?」

「お、おう。……飲み物買ってくる。」

「そういうのは入る前に買っとくもんでしょ?
それに水筒に、ホット烏龍茶入れて持って来てるんでしょ?知ってるんだから…」

「………」

コイツの事だから…わざと見せつけてんだろうな…
泰子の服を貸したのは失敗だったか…
出来る事なら、一生、記憶の引き出しにしまっておきたい、一枚の写真の事を、ふと思い出す。
若き日の父母の写真。
こうはなるまいと、反面教師にし続けてきた男は、
右腕で母の肩を抱き、右手で母の乳を揉んでいたっけ…
なんだよ…すげぇじゃねぇか。
ある意味で、偉大な父だったんだな。竜某は。
天上に燦然と輝く星々は、どんなに手を伸ばしたところで、
決して、届きはしないけれど、
そこに在る地上の星は、望めば届く。伸ばせば届く。

「なぁ、亜美?」

「………」

「……お〜い。あぁ〜みぃ〜」

「………」

寝てやがる。おいおい…
眠くなるのは解る。寝不足の上に食後。
暗いトコで目瞑って、人を枕にしてりゃあ、そりゃあ。一発だろうよ。
もしかして、寝言で会話してたんじゃないだろうか?あり得るな。

まあ、寝ちまったものは仕方ない。じゃあ、寝てる間にいただいてしまおうかな。
などと、思えるのはそれこそ竜某の様な人間であり、俺には荷が重い。
かといって、このまま何もしないのでは、俺だって、少しは情けないと思う。

「亜美…寝てる奴が悪いんだからな…
だから、前借り…させてくれよな。」

俺は寝ている亜美の、特に柔らかな部位の感触を、
星空そっちのけで、上映時間めいっぱい堪能する事に決めた。
ぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷに………

***

地上数十Mの地点から、見える風景は…どうしようもなく亜美だった。


起き抜けの一言。

「………あのさぁ…前から気になってたんだけどさ」

「ん、なんだよ?」

「もしかして、竜児って不能?」

「…なッ!?おま…いきなり何出すんだよ!?」

「だってさ…チャンスだったでしょ?
亜美ちゃん寝てたんだから、好きにして良かったのに…
それなのに、ほっぺって……」

じぃ〜っと、下腹部を凝視してくる。

「使えないの?それ。」

「変な事言うな、失礼な。ちゃんと使えるよ。」

「ふぅ〜ん。じゃあ、亜美ちゃんに魅力が無いって事?」

「…何言ってんだ?
お前に魅力がないんだとしたら、
俺は、お前の為に日々犠牲になっている熱帯雨林、ひいてはこの地球に対して顔向け出来ねぇよ。」

「エコ野郎め。もういい、わかった。
一度、ちゃんと、ゆっくり、お話しよっか?ね?竜児。」

「お、おう…。機嫌なおせよ…。俺が悪かったよ。」

「べっつにぃ〜亜美ちゃん超ご機嫌だしぃ〜
そうだ、あの観覧車に乗ろうよ。あそこなら、2人っきりでお話できるでしょ?」

「………」

「…まあ、ホントに怒ってる訳じゃ無いんだよ。
竜児があたしの事、大事に思ってくれてるのは解るから。
でも、触れてくれなきゃ、やっぱり嫌なの。それは解ってくれるでしょ?
だから、お話しようよ。お互いに気になる事を全部出しきったら…
きっと、次のステップに進めると思うんだ。
あたしは、進みたいの。竜児と一緒に。」

唐突な観覧車搭乗は、まあ、こういう訳である。

「じゃあさ、てっぺんに着くまで、あたしが質問しても良い?
下りは、あたしが答えるから。」

「おう。」

「じゃあ…ずっと気になってたんだけどね?
竜児はさ…あたしの容姿について、全然コメントしてくれないよね?
内側を見てくれてる事は、凄く嬉しいんだけど…容姿はどうなの?
可愛い事は自分で解ってるよ。一応、プロだし。
でもね、竜児の好みかどうか…それが知りたいの。
例えば、短い髪が好きなんだったら、髪、切りたいし…さ。」

「可愛いと、思ってるよ。反則な位可愛いよ。好みだよ。超、好みだよ。
髪は、それ位の長さが好きだ。他も、全部、好きだ。
初めて、お前と会った時、危うくファンになるトコだったよ。
速攻で打ち砕かれたけどな。」

「そか…嬉しい。ありがとう。
今まで、言われた、どの可愛いより、一番、嬉しい。
まあ、ぶっちゃけ、何万回言われたかは覚えてね〜んだけど。なんて。」

「お、おう。」

「やっぱり、竜児は特別だよ。」

「俺だってそうだよ。亜美は特別だ。」

「ッ…もう…亜美ちゃんを悶え殺すつもり?
……次の質問、いくね?」

「おう。」

「竜児はあたしの仕事の事、どういう風に思ってる?」

「大変な仕事だって思ってる。」

「違うの。そういう事じゃなくて…続けて欲しい?それとも辞めて欲しい?
たまに聞くんだ。自分の彼女がモデルやってるの嫌だって話。独占…したいらしいんだ。
それに、前みたいに忙しくなったら、今みたいに時間作れないかも…上手い事、調整するつもりではいるんだけど。」

「亜美はモデルの仕事好きか?」

「うん…好きだよ。嫌な事もいっぱいあるけど…お仕事だもん。」

「じゃあ、頑張れ。自分が思うようにすれば良いと、俺は思うよ。
偉そうな事、言ってるけど、俺はまだ見つけてないんだ。自分がやりたい事、好きな事。
だから、そういう風に一生懸命に頑張ってる奴が羨ましいし、尊敬もしてる。
だから、応援するよ。亜美の仕事。」

ピッ…カシャッ…

「お、おう!?何だ?」

「写メ」

「見りゃ解るよ」

「今、この瞬間を永遠に残しておこうと思ってさ。

これを見ればこれから先、どんな事があっても、きっと頑張れる。」

「……いや、そんなモン一人で抱え込むなよ。

頼れよ、俺を。その都度、頼ってくれ、頼むから。」

「……良いのかなぁ〜?そんな事言っちゃって。

本気にするよ?1日に何十回も電話かけるよ?深夜でも…早朝でも、電話かけるよ?」

「望むところだ。」

「そっか。うん。それじゃあ、この写メは、もっとイイコトに使う事にするよ。」

「…魔除けとか言うなよ?」

「ん〜ん。オカズにする。」

「………。お前は下品だ。」

「え〜どうしてぇ?これ位、普通だと思うよ?」

「んな訳ねぇ。普通でたまるかよ。」

「普通だってば。全然、普通。
あたし、カマトトぶる女って嫌いなの。
え〜亜美ちゃん、何の事だか、わっかんなぁ〜い。
とか、言った方が良かった?」

「…やめろ。うら寒い。」

「でしょ?あ、ほらほら、見てよ。もうすぐ、てっぺんに着くよ?
じゃあ、観覧車のてっぺんで、恋人同士がする普通のコト…しよっか?
もう、三回目だし…上手にリードして?ん…」

………………

「なあ亜美?」

「なぁに?」

「呼んだだけだ。」

「うわ…何それ…
竜児ってさ、格好良い事言うくせに、たまにヤバイ位ガキだよね?」

「…悪かったな、ガキで。」

「拗ねないでよ。
でも、そういうトコ、あたしにしか見せないよね?
実は、ちょっと優越感感じてたりしたんだよね、ちょっと…だけね。
そういう、しょうもないトコロを見せてくれたから、好きになっちゃったのかも。
竜児の素顔はあたしだけが知ってるんだぞ、ってさ。」

「…つくづく、お前が言うな、って感じだな。
こっちの台詞だよ、それは。」

「…お互い様だと思うよ?
あたしたちって、結構、似たもの同士なのかな?
前に、あたしと竜児は対等だって言ったの覚えてる?」

「おう。別荘の洞窟での話だろ?」

「そ。対等だから、たまには、竜児のわがままに振り回されたい、とも思うんだ。

竜児の欲望を全部、この身で受け止めてあげたい。みたいな。
亜美ちゃん、ホントはドMなのかも…」

「…複雑な女の子だよな、亜美は。」

「かもね。だから、竜児にしか務まらないの。あたしの相手は。」

「光栄だよ。お姫様。
でも、喜んで、苦労する。それだけの価値はある…だろ?」

「……結構、覚えてくれてるんだね。あたしが気まぐれに言った事も、そうじゃない事も。」

「おう。」

「…だったら、責任取らないといけないね。いい女にならなきゃ。」

「そんなに気負うなよ。今まで通りで良い。いい女だって思ってるよ。
美人で意地悪でちょっとアホなお前が好きだから。」

「うん。ありがとう。
でも、褒められてるのか、微妙…」

「褒めてるよ。」

「でも、これからもっと、いい方に変わっていける。そう思うんだ、あたし。
さ、もう半周したしね、交替しよっか?ずっと亜美ちゃんのターンじゃ悪いし。
竜児から、亜美ちゃんに聞きたい事ない?何だって答えるよ?」

「おう。それじゃあ、ちょっと気になってた事、聞いてみるかな。」

「うんうん。何?」

「亜美はさ、よく自販機の隙間に挟まってるけど…あれって一体何なんだ?」

「え?…ん〜何って言われてもねぇ〜
あそこ、何だか落ち着くの。居心地が良いって言うのかなぁ〜」

「そういうもんか?」

「うん。そういうもの。
ねぇ、隣に座っても良い?」

「おう。」

「じゃあ、少し寄って?…うん、ありがとう。」

「…おう!?」

「あたしは、何かにこうやって、もたれかかるのが好きなんだ。

自販機の代わりとか言ったら、嫌な気になるかも知れないけど、
これから、ココをあたしのお気に入りの場所にしたいな。ダメかな?」

「良いに決まってるだろ?隣に居てくれって言ったのは俺の方だ。嫌な訳がない。」

「…暖かい。」

「…そりゃどうも。」

「ぷっ…照れてやんの。」

「うるせぇ…次、聞くぞ?」

「はぁ〜い。」

「俺の事、好きだって言ってくれたけど、いつから好きになってくれてたんだ?」

「…気になる?」

「なるよ。」
「…最初からだよ。」

「…初めて会った日は、思いきり酷評された記憶があるけどな、俺は。」

「え!?うそ、マジ?あれ、聞いてたの?
あの時、席、外してなかった?」

「北村と見てたよ。一部始終。全部。」

「…その事は、もう忘れてよ。
あぁ、聞いてたんだ…見てたんだ…
そりゃあ、いくら誘っても乗って来ない訳だよ。」

「…あれ、誘ってたんだ…
からかってるだけだと思ってた。」

「からかうだけなら、わざわざ別荘に誘ったりする訳ないじゃん。
好きだから、に決まってるでしょ?
あたしは、あのストーカー男から守ってくれた時から竜児が好きだったの。」

「俺、あの時、大した事はしてないぞ?

暴れたのは亜美だった気がするんだが…」

「その後よ。その後、腰をぬかしたあたしを家に上げてくれて、いっぱい慰めてくれたじゃない。」
「そう…だったか?
「覚えてないの?まあ、しょうがないよね。
あの頃は、竜児の視線はあたしに向いてなかったんだもん。
異分子の事なん、−ッ!!……んむぅ………」


「お前が、こういう事しようとしたから、頭の中ぼ〜っとしちまって…
だから、あの時の記憶が曖昧なんだよ。 覚えてないんじゃねぇ、曖昧なんだ。」

「四回目…てか、今のちょっとズルくない!?」

「ズルくねぇ。」

「…ズルいよ。ばか…」

「……泣くのはズルじゃねぇのか?
解った、解ったから。悪かったよ。」

「ホントに悪かったって思ってる?」

「おう。」

「じゃあ、あたしのお願い…ひとつだけ聞いてくれる?」

「…お手柔らかに頼むよ。」

「………抱いて欲しい。」

「な…お前、何言って…まさか、ここでか?」

「あっちの方向に、お城みたいな建物が見えるでしょ?
あそこに連れて行って欲しいな。」

「…いいんだな?」

「いいよ。竜児はどうなの?」

「ブレーキ効かないかも知れないぞ?」

「覚悟してる。」

「わかった。行こう。」

この時、俺は、とんでもないルートへのフラグを立ててしまっていた。
ここから、他のルートへの分岐は、多分無い。エンディングに向かって一直線。亜美と、二人で。

クイックセーブ。